2018.01.19 08:00

【部活負担軽減】一律でなく多様な観点で

 授業前の早朝に汗を流し、放課後は日が暮れるまで練習に打ち込む。帰れば宿題に追われ、週末も特訓をこなし、大会に臨む。生徒、教員は一体いつ休むのか。
 学校の部活動はどう在るべきか。長時間労働が深刻化する教員の働き方改革の観点から、その見直し議論が高まっている。
 スポーツ庁の検討会議が、中学校の部活の休養日を増やすなど、過度の負担を防ぐガイドラインの骨子案をまとめた。
 部活時間を平日は1日2時間、休日は3時間程度に抑制し、1週の平日で少なくとも1日、週末は1日以上を休養日とする。夏休みなどは長い休養を設けるよう提言した。高校にも準用を促す。
 国の昨年の調査で、全国の中学3年生の平日の平均部活時間は「2~3時間」「3時間以上」が合わせて5割を超えた。2016年度調査では休養日が「週1日」のみの中学が全国で5割を上回り、2割余りが設けていなかった。
 部活を担当する教員の負担の重さはかねて問題視されてきた。文部科学省は1997年、中学の運動部の休養日を「週2日以上」とするなどの指針を示し、負担軽減を図るよう学校現場に求めてきた。
 だが、大会などへの引率も多い土日の部活勤務は2016年度に全国平均で2時間10分に上り、10年前の約2倍に増えた。他の校務も増え、部活は教員に長時間労働を強いる元凶の一つとされてきた。
 教員の過重労働問題が叫ばれるようになり、中教審も昨年、部活指導を「必ずしも教員が担う必要はない」と位置付けた。本県は公立中高に「週1日以上」の休養日を設けるよう通知し、文部科学省も外部人材の「部活動指導員」を制度化し、導入が広がっている。
 ただ、先輩からの伝統や「文武両道」へのこだわり、競技志向の高まりもあり、大胆な見直しに踏み込めていないのが現実だ。
 ガイドラインはスポーツ医科学の観点でも検討され、過度の練習による生徒のけがや過労の防止も図る。部活の負担で子どもの成長が妨げられるようでは、部活本来の目的にも反する。
 長野県は生徒の睡眠不足などを招いているとして、14年に中学校の朝練習を原則禁止する指針を決め、学校側に求めた。子ども本位の考え方だろう。
 生徒の部活への打ち込み方はさまざまだ。トップ選手や強豪チームを目指し、厳しい練習をいとわないタイプだけでなく、同好会のように楽しみたい生徒もいるだろう。
 スポーツ庁も学校の枠にとらわれない多様な部活の模索を提言している。限られた時間で、より効率的に能力を伸ばせる指導技術なども求められよう。
 スポーツの参加機会や楽しみ方が多彩になる中、従来の発想を離れて部活を考える。保護者や地域も巻き込んで多面的に議論したい。
カテゴリー: 社説

ページトップへ