2018.01.16 08:00

【高知市の西敷地】情報公開で不安を拭え

 行政の透明性はどうあるべきか。改めて考えさせられる。
 県と高知市による新図書館複合施設「オーテピア」西側の市有地の利活用問題。市が民間事業者から案を募る「公募型プロポーザル」の最終審査を経て、最高得点の1案が選定されたとみられる。
 「みられる」という曖昧な表現なのは、市が一連の手続きを非公開で進めているためだ。これまでのところ、提案した事業者名や内容などは明らかになっていない。
 市は1月下旬に最終審査に臨んだ2事業者の点数と、提案された機能をホームページで公表するという。それにしても市民、県民の関心が非常に高い事業について、速やかな情報提供という点で疑問符が付くと言わざるを得ない。
 高知市の追手筋に面した約2500平方メートル。ひろめ市場や県立高知城歴史博物館に近く、「市中心部に残された最後の公有地」ともいわれる。そこに何ができるのか。市民らが注目するのは当然だが、市は選定委員会の委員名も含めて過程を公開してこなかった。
 「(選定委員への)働き掛けを防ぐため」「事業者のアイデアやノウハウを(模倣されないように)守るため」といった理由が挙げられているが、説得力に乏しい。
 そもそも選定委員は、公平公正に判断できる人材に委嘱しているのではないのか。仮に働き掛けがあればその事実を公表するなど、毅然(きぜん)と対応すればよい。
 事業者の「知的財産」などを守るという理由は分からないでもないが、一方で西敷地の利活用は極めて公共性が高い。事業者に支障のない範囲で、市が情報提供を促すといった姿勢があっていいのではないか。現状では市は情報公開より過度に企業利益を優先している、と言われても仕方あるまい。
 実際に他県の自治体では公募型プロポーザルで施設を建設する際、審査委員名や事業者の提案内容などを公開するケースがある。
 むろん非公開はプロポーザルの手法にのっとったものであり、違法ではない。しかし、それでは「県都の真ん中に不似合いな施設ができたら困る」という、市民らの不安が解消されないのも事実だろう。
 西敷地の利活用について、市が実施した市民アンケートでは「広場機能」「子どもが安全に遊べる機能」「観光客のリピーターを増やせる機能」などの要望が上位を占めた。
 こうした民意が本当に反映される利活用案なのかどうか。市民が十分に判断できるよう、市は今からでも情報提供を重視する姿勢へとかじを切るべきだ。
 高知市民図書館の正面にあった「市民の図書館」の碑が今、西敷地の一角にある。図書館は行政の一施設ではなく市民共有の財産。そう訴えかけてくる。その伝統を受け継ぐ新図書館横の西敷地もまた市民の財産である以上、民意と懸け離れた施設を造るわけにはいかない。
カテゴリー: 社説


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