2018.01.09 08:00

小社会 誰にでも一生忘れられない食べ物があろう。思い出し…

 誰にでも一生忘れられない食べ物があろう。思い出しただけで懐かしさで涙が出そうになる味が。青森県八戸市出身の作家、三浦哲郎さんのそれは脂のたっぷり乗った鰯(いわし)。

 秋、たるに入れて塩漬けにし、冬に七輪(しちりん)で焼いてご飯の湯漬けのおかずにした。焼きたての、まだジュクジュクと音を立てているのを口に入れる。すると湯に触れた途端、シャオッというかすかな音を立てた。赤く焼けた鉄などを水に入れたとき、ジュッと音がするように。

 「笹舟日記」に描かれた三浦さんの幼いころの記憶である。決してぜいたくなごちそうではない。それでいて、とても豊かなものを感じる。鰯を売りにくる漁師町のおかみさんたちとのやりとりや、食卓を囲んだ家族の温かな思い出も味に溶け込んでいるからだろう。

 大人の人さし指ほどの大きさで骨ごと食べたというから、土佐で言うホタレイワシだったろうか。干物にしたのを焼いても、潮の香りとほろ苦さが絶妙にマッチしてうまい。

 お正月からのごちそう続きに、ちょっと疲れ気味の胃腸をいたわりたいころでもある。七草がゆはもちろんのこと、ホタレイワシでお茶漬けというのもいい。歌人の吉井勇にはウルメイワシの歌がある。〈大土佐の干鰯をば焼きて酌む年祝ぎ酒はまづしけどよし〉。

 連休明けのきょうから、日常に慌ただしさも戻ってくる。食べ物とともに気分も平常モードに切り替えて。


1月9日のこよみ。
旧暦の11月23日に当たります。かのと うし 二黒 先負。
日の出は7時11分、日の入りは17時15分。
月の出は0時00分、月の入りは12時05分、月齢は21.9です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時56分、潮位52センチと、18時21分、潮位65センチです。
満潮は11時34分、潮位142センチです。

1月10日のこよみ。
旧暦の11月24日に当たります。みずのえ とら 三碧 仏滅。
日の出は7時11分、日の入りは17時16分。
月の出は0時58分、月の入りは12時38分、月齢は22.9です。
潮は小潮で、満潮は高知港標準で0時16分、潮位113センチと、12時30分、潮位138センチです。
干潮は5時54分、潮位69センチと、19時43分、潮位57センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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