2016.02.05 11:24

小社会 冬にタケノコが食べたいと望む病気の母親のため…

 冬にタケノコが食べたいと望む病気の母親のため、息子は雪中の竹林へ行くがあるはずもない。途方に暮れていると、にわかに大地が開けてたくさん生え出てきた。孝行の深い心に感じ入った天の恵みであるという。

 息子は中国三国時代の呉の人、孟宗。孟宗竹の名前の由来ともされる故事だが、江戸時代の浮世草子作者、井原西鶴は荒唐無稽と一蹴する。それで終わらないのが希代のリアリスト。

 親の命を抵当に金を借りてその死を願ったり、生業に就かず酒に溺れて財産を使い果たしたり。諸国の不孝者の話をまとめて「本朝二十不孝」を著した。現代に通じる酷薄な世相を描き出すことで、逆に孝行の大切さを浮かび上がらせる。そんな狙いがあったのだろう。

 家どころか国を滅ぼしかねないこちらの三代目も不孝の最たるもの。ただし傍若無人な振る舞いには、親の遺訓もあるだけに余計に始末が悪い。事実上の長距離弾道ミサイル打ち上げを通告した北朝鮮の金正恩第1書記。

 先月の核実験に対し国連が制裁を協議している時期。発射を強行すれば北が望む米国との対話など到底ありえず、後ろ盾の中国の怒りも高まる。自ら対話を遠ざけ孤立を深める瀬戸際外交には、何の成算も見込めない。

 核実験やミサイルに費やす金を民生に振り向ければ、どれだけの国民が救われることか。それさえ見通せないリアリズムの欠如が、この国の不幸の源である。
カテゴリー: 小社会コラム


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