2017.12.22 14:30

DESTINY 鎌倉ものがたり

映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」の一場面
映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」の一場面
妖気ただよう古都 死の世界通して 夫婦の愛描く
 怨霊や妖怪が信じられた日本の中世社会。道と道が交わるつじや川に面した河原、井戸などは、異界(黄泉(よみ)の国)との境界として認識されていた。

 そんな中世の世界観を現代に持ち込んだファンタジー作品。西岸良平の漫画「鎌倉ものがたり」が原作、「ALWAYS 三丁目の夕日」「STAND BY ME ドラえもん」「永遠の0」などで知られる山崎貴が監督を務めた。

 今から800年前、源氏の棟梁(とうりょう)・源頼朝が幕府を開いた古都鎌倉は、妖気に満ち、夜になるとカッパなどの妖怪が町を歩き、さまざまな怪異が起きる。

 前半は、ミステリー作家の一色正和(堺雅人)と妻・亜紀子(高畑充希)の鎌倉での不思議な日常を描く。電車や自動車が走り、住宅街が広がる現代の街並みに異界との境界が存在、死者や魔物が町中を歩くミスマッチ感が面白い。

 妖怪に魔物に死神…。言葉を聞くとぞっとして、見た目もまあまあ恐ろしい。だが、彼らはその容姿の半面、明るく、楽しく描かれている。それをもり立てるのが、堺や高畑ら明るくユーモラスに演じる俳優陣だ。

 「鎌倉は不思議な所でね。何千年も前から幽霊も魔物も普通の人のように仲良く暮らしているんだ」

 正和の言葉で、この不思議な世界にぐっと引き込まれた。

 後半は黄泉の国に消えた亜紀子を正和が救いに行くというダイナミックな展開。CGを駆使した黄泉の国のシーンは非常に美しい。

 軽快なストーリーの中で、死の世界を通して夫婦の愛を描く本作。寝たきりの老夫に先だって亡くなった女性や、妻と幼い娘を残して急死した編集者の男性は、幽霊や魔物に姿を変えて現世にとどまっていた。

 死者と残された家族は黄泉の国で再会し、歓喜する。

 日本では昔から、人の魂は永遠で、死後も家族は時代や世代を超えてつながっている、と信じられてきた。現世にすむ魔物や妖怪たちは、その象徴として描かれているのかもしれない。

 TOHOシネマズ高知で上映中。 

 (楠瀬慶太)

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カテゴリー: シネスポット文化


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