2017.12.17 09:31

犠牲者ゼロへ貢献誓う 高知県版津波サミット 高校生が発表

 県内の高校生が防災活動推進の決意を誓った「高知県高校生津波サミット」 (16日午後、高知市の追手前高校芸術ホール)
県内の高校生が防災活動推進の決意を誓った「高知県高校生津波サミット」 (16日午後、高知市の追手前高校芸術ホール)
「高知県高校生津波サミット」が16日、高知市追手筋2丁目の追手前高校などで開かれ、東日本大震災で被災した語り部の講演、県内の高校生による実践の発表などを通し、南海トラフ地震の備えを考えた。県内全ての公立高校に私立4校を加えた53校の約210人が参加した。
 
 昨年11月に幡多郡黒潮町で開かれた「世界津波の日 高校生サミットin黒潮」の取り組みを引き継ぎ、将来の防災リーダーを育成しようと、県と県教委が県版サミットを企画した。
 
 分科会では、サミットに向けて活動してきた16校が、災害食の開発や防災ポスター作成などの取り組みを報告。生徒同士で感想を言い合ったり、意見交換したりした。
 
 東日本大震災の際、児童生徒が自主的な避難判断で命を守ったことから「釜石の奇跡」と呼ばれた時の釜石東中3年生で、長崎大学4年の狐鼻(きつねはな)若菜さん(22)=長崎市=が講演。続く全体会では、高校生が「地域の支えになりたい」「犠牲者ゼロを目指し、県の防災に貢献したい」「若き防災大使として、海とともに生きる者として活動を進めたい」などと決意表明した。

 全体会には小此木八郎国土強靱(きょうじん)化担当相と、「世界津波の日」を提唱し、昨年の高校生サミットにも来高した自民党の二階俊博幹事長が来賓で出席したほか、安倍晋三首相のビデオメッセージも。高校生らは「次世代を担う防災リーダーとして高知の、日本の防災活動をけん引していくことを期待している」という首相の言葉に耳を傾けていた。


一人でも多く生き延びて 岩手で東日本被災 狐鼻さん(長崎大4年)講演
 東日本大震災の経験を語る狐鼻若菜さん(高知市追手筋2丁目の追手前高校)
東日本大震災の経験を語る狐鼻若菜さん(高知市追手筋2丁目の追手前高校)
高知市の追手前高校で16日に開かれた「高知県高校生津波サミット」で、岩手県釜石市出身で長崎大学4年の狐鼻(きつねはな)若菜さん(22)=長崎市=が「私が防災を伝える理由」と題して講演した。東日本大震災で被災した経験、防災に対する心構えなど、南海トラフ地震に備える本県の高校生らに送ったメッセージの要旨を紹介する。
 
 地震が起きたのは中学校の卒業式の2日前でした。式で披露する合唱の練習をした後、私は卒業生代表のあいさつを考えていました。すると、「地震、地震」という声が聞こえました。
 
 揺れが強くてまともに歩けず、転げながら校庭に出ました。地面はひび割れ、校舎が今にも崩れそうでした。校庭に整列しようとする私たちに先生が「それぞれで逃げろ」と叫びました。
 
 迫って来る大きな津波は現実とは思えず、映画のようでした。足に力が入らず、周りの小学生はパニックや過呼吸になり、泣き叫んでいました。「これで死ぬのかな」と考えましたが、両親が悲しみ生きていけない、生きなきゃ、と思って必死に逃げました。
 
 決められていた避難場所に着いても不安で、もっと高い場所へ向かいました。実際にそこは浸水しました。
 
 高校入学前に、母親の実家がある福岡市に引っ越したのですが、学校や地域の目は「あの子、被災地の子だよ」という感じ。家族とも震災の話は伏せるようになりました。誰かにつらい思いを打ち明けたいのにできず、自分を押し殺して生きるようになりました。
 
 このままではいけないと思い、大学1年の夏休みに被災地の学生との交流会に参加。ここで、これまで隠してきた思いや悔しさを打ち明けることができました。それからはさまざまな防災団体とつながりながら、2014年夏から語り部の活動を始めました。
 
 防災に興味が薄い人にも来てもらおうと、音楽演奏なども取り入れた「愛を伝えるコンサート」を各地で開いています。高知は学生団体の活動でよく来ていて大好きなところです。
 
 私は大学で地震学を勉強していて、南海トラフ地震は100年から150年ぐらいの間隔で起きているので、次はいつ起きてもおかしくない。起きれば巨大地震になるが、一人でも多く生き延びてほしい。
 
 そのために、まずは身近な家族や友人、地域で話し合ってください。そして津波から避難するときは時間が許す限り逃げてください。できれば被災地に足を運んでほしい。そうすれば、災害をもっと身近に感じられると思います。


視覚障害者の支援を 県立盲学校生が発表
 視覚障害者の支援について訴えた県立盲学校の生徒(16日午前、高知市の県公立大永国寺キャンパス)
視覚障害者の支援について訴えた県立盲学校の生徒(16日午前、高知市の県公立大永国寺キャンパス)
16日に高知市で開かれた「高知県高校生津波サミット」に特別支援学校からただ1校だけ生徒参加があった県立盲学校。分科会では3人が「僕たち当事者じゃないと伝えられない」との思いから、災害時の障害者支援を訴えた。
 
 発表したのは高等部3年の浅野拓朗さん、2年の山本麻琴さん、1年の長山輝(ひかる)さん。視覚障害者が災害時にどんなことに困るかを調査し、その対策を発表した。
 
 まず10月に同校の生徒や地域の視覚障害者の人ら19人を対象に聞き取りを行った。そこで出された不安や必要な支援は、多くの人に知ってもらうためにチラシとしてまとめたという。
 
 必要な支援として、避難所で視覚障害者が物や壁にぶつからないよう周囲の人が誘導したり、掲示物を代わりに読んで聞かせたりといった行動を挙げた。何かの位置を説明する際は、時計の文字盤をイメージして12方向で示す「クロックポジション」が有効だと説明した。
 
 浅野さんは「チラシに書いていることは日常生活の中でも支援してほしいこと。これからも他校との交流や地域の避難訓練の時に、このことを広めていきたい」と話した。
 
 分科会に参加した高知西高2年の寺村海晴(かいせい)さんは「避難所生活について考える時、足の不自由な人や高齢者の人のことは頭にあったけど目の不自由な人のことは考えていなかった。これからの活動に生かしたい」と刺激を受けていた。
 
首相から感謝状
 昨年11月に幡多郡黒潮町で開かれた「世界津波の日 高校生サミットin黒潮」で議長を務めた大方高2年の今井恋さんと今村琳花さんに、安倍晋三首相からの感謝状が自民党の二階俊博幹事長から手渡された。2人は「これからも防災リーダーとして活躍していきたい」と話した。

カテゴリー: 主要環境・科学社会教育高知中央教育


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