2017.12.13 08:00

【リニア入札不正】厳しい姿勢の捜査を望む

 大手ゼネコン大林組に東京地検特捜部の強制捜査が入った。JR東海が発注したリニア中央新幹線の関連工事で、入札に不正があった偽計業務妨害の疑いだ。
 大林組など大手を含む建設業界は過去、談合や入札の不正を繰り返してきた。そのたびに社会に再発防止を誓ってきたはずだ。
 新たな疑惑が事実であれば、業界は病根を断ち切るつもりがないことになる。しかも、リニア工事に絡む不正の疑いとは衝撃である。
 リニアは完成すれば東京と名古屋を40分で結ぶ超高速鉄道だ。そんな話題の大型プロジェクトまで犯罪の舞台にしたとなれば社会への裏切りは甚だしい。特捜部には厳しい姿勢で捜査に当たってほしい。
 問題となっているのは、運行中の事故や火災に備えるため名古屋市に設けられる非常口の工事だ。大林組と戸田建設、ジェイアール東海建設による共同企業体(JV)が昨年、受注した。
 大林組はJVの代表として、他のゼネコンに入札への協力を要請。応じた他社がより高い見積価格を提示した疑いが持たれている。
 特捜部は大林組のほか、他の大手ゼネコンの幹部や担当者も任意で事情聴取しているもようだ。見返りに別の工事を他社が受注するシステムが存在したかどうかも、気になるところだ。
 入札の不正は競争によって請負先を決める制度をゆがめ、発注者に損害を与える。リニア工事は民間発注だが、鉄道という公共性の高い社会インフラでもある。事件の全容解明が急がれる。
 大手ゼネコンが「談合決別宣言」を出したのは2005年のことだ。業界が過去を反省し、新しい出発点に立ったかに思われた。
 だが、不正は後を絶たない。大林組は、名古屋市発注の地下鉄延伸工事や大阪府枚方市発注の清掃工場建設の談合事件に深く関わっていた。東日本大震災の復興工事でも多くのゼネコンが談合に加担した。
 建設大手はいま活況にある。震災復興や東京五輪・パラリンピックに向けた再開発など大型案件が続いているためだ。大林組などトップ4社は最高益を更新している。
 リニアの東京―名古屋は27年開業を目指し、大阪までの全線開業はさらに10年以上かかる。工事は長期に及び、総工費9兆円を超える巨大事業になる見込みだ。
 ゼネコンにとって復興や再開発事業の後を支える重要で安定的なビジネスといえる。ならばクリーンな仕事に徹すべきではないのか。
 路線の大半はトンネルになるとみられ、難工事が予想される。建設会社は技術を結集して工事に当たる必要がある。契約段階から不正に手を染めるようでは、未来の鉄道の安心安全も保てまい。
 あろうことかJR東海の担当者が大林組に工事費などの情報を漏らしていた疑いまで浮上している。捜査の行方を注視したい。
カテゴリー: 社説

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