2017.12.04 08:00

【相次ぐ企業不正】「日本製」の信頼損なう

 製造大手による製品不正が後を絶たない。
 新たに三菱マテリアルと東レの各子会社が、品質データを改ざんし、出荷していたことが分かった。いずれも、既にデータ偽装が判明している神戸製鋼所と同じく、素材分野の名門メーカーだ。
 日本の製造業では数年来、自動車大手などの不祥事が相次いでいる。この秋も、日産自動車とSUBARU(スバル)が新車の出荷前検査を無資格の従業員に行わせていたことが明らかになった。
 これら最終完成品のメーカーに加え、材料を供給する「川上」の企業も不正を働いていたとすれば、影響は計り知れない。工業製品全体の安全や安心が揺らいでしまう。
 三菱マテリアルは子会社3社で、契約した品質に達しない製品を出荷していた。ゴムのパッキンや、アルミ板、銅部品などだ。東レも子会社がタイヤの補強材などの検査データを改ざんしていた。
 いずれも航空機や自動車などに使われていた。神戸製鋼の出荷品には原発の部材もある。まずは納入先の製品の安全性に問題がないか、徹底した調査が求められる。
 「日本製」は高い技術力と品質こそが売りだ。電機などの最終製品の存在感は低下したが、素材の競争力はいまも高い。
 このままでは日本製は国際的な信頼を失い、一段と競争力を失ってしまう。健全な多くの企業への影響を回避するためにも、問題各社は真相の解明と再発の防止を急いでもらいたい。
 同じような不祥事がここまで相次ぐのは、「偶然」だろうか。生産現場が不正に走った共通点からも、業界に構造的な問題があると感じざるを得ない。
 素材産業には「特別採用」と呼ばれる商習慣がある。仕様を満たさない製品でも顧客の了承を得て納入する取引だが、問題企業には無断で納めていた例が目立つ。
 製造業界は長く続いたデフレ経済下で、人員を含め大胆なコスト削減を敢行してきた。余裕がなくなった生産現場は疲弊し、不正に手を染めていった可能性がある。
 企業業績は回復してきたが、国際競争は依然厳しい。現場にコスト削減圧力がかかったままとの指摘もある。そこへ誤った生産性向上や働き方改革の号令がかかれば、今後も不正を生んでしまうだろう。
 問題の根は深い。三菱マテリアル子会社の1社は今年2月の不正把握後も半年以上、偽装製品の供給を続けていた。
 東レは昨年7月に把握していた。記者会見で社長は、神戸製鋼などの問題が出なければ「発表は考えていなかった」とまで言い切った。
 ものづくりへの威信や責任感は感じられない。東レの不正が始まった時期が経団連の榊原会長が社長だった時代と重なることも重い事実だ。
 業界全体で病根を探り、手だてを打つ必要がありそうだ。
カテゴリー: 社説

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