2017.12.02 08:05

【退位の日決定】将来像の議論を加速せよ

 現在の社会、政治や経済に激動をもたらした「平成」の時代が、30年余りで終わることになった。
 政府が天皇陛下の退位日決定の前提となる皇室会議を開き、陛下の退位日を2019年4月30日とすることを決めた。
 翌5月1日、皇太子さまが新天皇へ即位し、改元する。再来年の初夏、皇室の一時代が幕を閉じ、新しい時代の皇室がスタートする。
 天皇陛下の退位は1817年の光格天皇以来、約200年ぶりのことだという。象徴天皇制を定めた現行憲法下ではむろん初めてで、前例はないに等しい。
 まずは新しい時代にふさわしい、国民に開かれた議論で、円滑な皇位の継承と皇室の将来の姿を描き出してほしい。
 天皇陛下は昨年8月、高齢による体力の低下などを理由に、退位の思いを強くにじませたビデオメッセージを公表した。
 これに対し、国民の大多数は世論調査などで賛意を示した。前例にこだわらず、陛下の意思を尊重したいという声の高まりであろう。
 政府が設置した有識者会議の議論では、退位容認の意見が大勢を占めたものの、陛下一代限りとする皇室典範の特例法がことし6月、成立した。退位日は皇室会議の意見を聴いて政府が決めるとしたのも、この特例法による。
 年末年始の区切りである「18年12月退位―19年1月即位」、年度替わりの「19年3月退位―4月即位」などの案も検討された。しかし、皇室の儀式や統一地方選と重なるなどの理由で却下されたようだ。
 菅官房長官は記者会見で、皇室会議の議事概要を記録した議事録を作成し、速やかに公表すると表明した。男性皇族の結婚や、皇族の身分の離脱といった重大事項を審議する皇室会議の内容を知ることは、国民に皇室を身近なものにする。
 政府は来年中に新元号を事前公表する方針だ。国民生活に支障が出ないようにするためにも、国民目線の姿勢を徹底してほしい。
 退位日の決定で、政府は一つの課題を乗り越えたようだが、これで終わりではない。「一代限り」の退位に目鼻はついても、皇室の将来に展望が開けたとは言い難い。
 皇室典範は、女性皇族が天皇や皇族以外と結婚したときは皇族の身分を離れると規定する。来年11月に結婚を予定している秋篠宮家の長女眞子さま以外にも、独身の女性皇族の結婚により皇族の減少が続く可能性がある。
 陛下の退位問題から始まった議論で、皇室典範の特例法は皇室活動の安定維持への警鐘を鳴らした。「女性宮家」の創設などについて政府に速やかな検討を促している。
 だが、安倍政権はなぜかこの問題に消極的だ。付帯決議が「先延ばしできない」というほどの重要課題を、置き去りにすることは許されない。退位や即位の準備と並行して議論を加速すべきだ。
カテゴリー: 社説

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