2017.11.30 08:00

【北朝鮮ミサイル】さらに深い孤立への道

 およそ2カ月半にわたり軍事挑発を控えていた北朝鮮が、また日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。
 新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したとの政府声明を発表した。これまでの「火星14」系列に比べ、高度も飛行距離も上回ったと金正恩(キムジョンウン)体制は誇示している。
 いつものように、冷静な対応と分析を心掛けるべきだ。北朝鮮が米国への攻撃能力をいくらぶち上げようと、核・ミサイルを放棄させるには、日米韓、そして中ロの包囲網を固く維持しておくことだ。
 北朝鮮は9月3日、ICBM搭載用の水爆だとする6回目の核実験を行い、国連安全保障理事会が石油に踏み込んだ制裁決議を採択した。だが北朝鮮は最近のミサイル発射では、急速に長距離、高高度のICBM「火星12、火星14」に開発の重心を移している。
 「米本土全域を攻撃できる」と豪語しており、標的が米国にあることは明らかだろう。8月と9月には日本上空を通過する形で、太平洋へと発射している。なすすべのない日本はたまったものではない。
 北朝鮮に対する経済制裁の効果は今ごろから来年にかけて、じわじわと効いてくるとされる。
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、父と祖父から継承した「並進路線」の貫徹を掲げる。核開発と経済建設を同時に進めるという路線を意味する。
 9月に国連制裁が科せられてからの2カ月半の間は、経済分野の視察活動に集中する様子が伝えられるなどした。当面は経済対策に専念するのではとの見方も出ていたが、やはり違った。
 再びミサイル発射という軍事挑発の暴挙に踏み切った。断じて容認できない。
 11月、トランプ米大統領がアジアを歴訪し、日中韓との首脳会談で対北朝鮮政策を話し合った。中国の習近平国家主席とは「対話と圧力」で温度差があったが、その後、習氏は北朝鮮に特使を訪朝させた。
 特使派遣の成果は明らかではないが、こうした外交努力は今後も続けるべきだ。その一方で米国は9年ぶりに北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定した。
 金正恩体制のミサイル発射は、「米国の圧力には屈しない」というメッセージかもしれない。しかし国連安保理など国際社会の包囲網に反旗を翻せば、北朝鮮はさらなる孤立を深めるだろう。
 並進路線のうち、経済建設はどうなっているのか。最近では日本海側の各県で、北朝鮮から流れ着いたとみられる木造船の発見が相次ぐ。いずれも遭難とみられる。
 中国の経済制裁で海産物の輸出が止まり、北朝鮮国内での消費に回そうとしているようだが、多数の漁民が命を落としている。核開発と抱き合わせに国民を犠牲にする愚策も、いいかげんにやめるべきだ。
カテゴリー: 社説

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