2017.12.06 08:00

奇跡の笑顔 全盲・重複障害を生きる(41)苦戦の中、土曜は盛況

学校行事、行楽に活用
 「眠れないお母さんに休息を提供し、重症児の発達につながる場」を目指してオープンした重症児デイ「いっぽ」(高知市)。開業1カ月半の10月18日になっても利用が伸び悩んでいたことは既に書いたが、土曜だけは例外だった。

 9月30日、初めて満員の5人を記録すると、3週間後の10月21日以降も土曜だけは4人か5人。気管切開など医療困難度の高い子が複数交じるため、スタッフも6、7人態勢に。体の大きな高校生も朝から来るので、バギーや着替え、敷き詰めたマットで足の踏み場もないほどに混雑するのだが、代表の山崎理恵さんは「にぎやかなのはいいですね。いろんな声が聞こえて、それだけでも子どもたちの刺激になる」とやりがいを口にする。

 しかし、なぜ、土曜だけ盛況なのか。それは他の重症児デイ施設の大半が休業だからだ。

 県内の重症児デイは8施設。このうち「平日営業」が6。土曜も営業は「いっぽ」、年中無休は「幸のつどい」(同市)だけ。山崎さんの次女、音十愛ちゃん(盲学校中学部1年)は「幸のつどい」でずっと世話になっている。

 ということで、できたばかりの「いっぽ」の平日利用を望む子は、既存施設を利用中。利用日数を増やしたい場合に、「いっぽ」の出番となるのだ。

 例えば、9月から「いっぽ」を週1日使い始めた4歳の子は、既に別施設を週2日利用中。母親はその日に働いていたが、もう1日、勤務が増えることに。同じ施設で見てほしかったが満員で、「いっぽ」を紹介された。

 という具合に、「いっぽ」は最初のうちは補足的な利用が多く、平日の苦戦は想定内。一方で、土曜の需要もやはり想定内だった。なぜかというと、他施設の休業もあるが、きょうだい児のいる重症児家庭にとっては、ものすごくありがたいからだ。

 「きょうだいのお子さんは、お母さんと一緒に遊びたいはずなんです」と山崎さん。運動会や参観日ですら、母親は簡単に出掛けられない。重症児のケアを実母や義母に頼むのは難しい。医療困難度が低い場合でも、「もしかしたら」と落ち着かないのだ。

 あるいは、父親が休みなら家族で外出したいが、医療器具やオムツ、着替えなど荷物が多く、体調急変も心配で遠出は無理。その結果、きょうだい児は我慢、我慢となる。

 ところが、重症児デイに預かってもらえれば、他の家族は安心して昼間、行動できるのだ。

 音十愛ちゃんにも兄と姉がおり、山崎さんは「音十愛優先で、2人の子には寂しい思いをさせた」との思いが強いだけに、「そこが『いっぽ』の役割」と、職員確保は大変だったが、土曜営業にこだわったという。祝日に営業するのも、同じ理由からだ。

 「幸のつどい」に土曜も日曜も娘を見てもらっていたからこそ、今の自分たちがある。「幸さんには感謝しかありません。今度は私がお返しする番」と山崎さん。いずれは日曜営業も考えている。

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カテゴリー: 社会奇跡の笑顔社会高知中央


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