2017.11.23 08:00

【「森友」会計検査】政府の強弁は崩れた

 学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、会計検査院が国の積算の「根拠は不十分」と指弾した。売却額の値引きが最大で6億円も過大だったことになる。
 憲法で独立性が確保された検査院が客観的に調べた上での結論だ。政府側の「適正だった」一点張りの強弁は崩れたにも等しい。
 安倍首相、政府は検査院の指摘を「真摯(しんし)」に受け止め、突き付けられた疑問に「丁寧」に説明を尽くさなければならない。
 財務省近畿財務局が大阪府豊中市の国有地を学園に売った額は、土地評価額のわずか14%の1億3400万円。土地に埋まったごみの撤去費用として約8億2千万円を値引きした、との理由だった。
 検査院は、近畿財務局の対応や、国土交通省大阪航空局のごみ撤去費用の見積もり方法に対し、多くの疑義や不信をあらわにした。
 航空局は複数の試掘場所のうち、ごみが見つかった深さの最大値を全体に適用し、処分量を算出していた。これを検査院は「根拠が確認できない」とし、試掘場所ごとの最深部の平均値で試算した結果、処分量は半分以下になった。
 土中のごみの混入率では、航空局がごみが出ていない場所のデータを反映していなかったことを「不合理」と批判。深さや混入率を検査院が設定し直して試算すると、処分量は航空局の見積もりの約3~7割に圧縮された。撤去費用は2億~4億円にとどまる。
 航空局はごみの撤去費用の算出経験がなかった上、過去の調査データを用い、調べ直していない。財務省も学園側が「ごみが出てきた」と申告してきた内容や提出資料の裏付けをせず、ごみの現物の確認も怠っていた。
 土地の売却に至る経緯には多くの不自然さが浮かんでいる。
 当初は定期借地契約だったが、契約外の新たなごみが出てきたとして学園側が購入を申し入れ、財務省側がそれに応じていた。検査院の指摘と合わせ見れば、単なる手続き上の不手際というよりも、値引き額を大きくするための「意図」さえ疑わせる。
 ごみ撤去に絡み、近畿財務局と学園側が価格を協議したとみられる音声データも明らかになっている。財務省の前理財局長の佐川宣寿氏は国会で事前の価格交渉を否定したまま、国税庁長官に転じた。
 国有地に開設予定だった小学校の名誉校長に一時就任していた安倍昭恵首相夫人の関与や、官僚の「忖度(そんたく)」への疑念も晴れていない。そんな中でも昭恵氏は先の衆院選の応援や安倍首相の外遊に同行する一方、沈黙を続けている。
 会計検査は、財務省などが記録文書を破棄していたため、核心部分の解明は阻まれた。検査院は「妥当性が検証できない」として改善措置を求めた。それだけに、真相究明の主舞台である国会の責任は重い。昭恵氏、佐川氏の招致は必須である。
カテゴリー: 社説

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