2017.11.10 08:00

声ひろば 2017年11月10日、金曜日

1.曲芸飛行の記事
【種田治子、79歳、主婦、高知市】
 10月30日付朝刊の大きな写真にくぎ付けになりました。小学校低学年の頃、鏡川北岸に立つ碑について、父はフランク・チャンピオンが飛行機事故で「田んぼに落ちた」ことを話してくれました。
 子供の頃には鏡川が唯一夏の水泳を楽しむ場所でした。その頃は隣近所たてわり年齢で、午後になると競い合って鏡川へ一目散でした。泳いだ後は勝手知った北岸のチャンピオン碑の周辺で「かくれんぼ」をしたり、男児は台座に登って遊んだ事がなつかしく思われます。
 新聞で父から聞いた事の詳細を知りました。大正時代の朝倉練兵場の人々の風俗、後ろ姿の着物、髪形なども分かります。チャンピオンの飛行姿かっこいいです。イラストの生々しい機体の落ちる描写を拡大鏡で隅々までじっくり見ました。今では神田の辺り、朝倉も一変して、貴重な記録に目を見張るばかりです。
 チャンピオンの来高は「鬼龍院花子の生涯」の鬼政のモデルとなった鬼頭良之助の招きだったことも知りました。飛行士の遺骨は分骨されて本国、柳原の碑に葬られ、井口町の永福寺に位牌(いはい)が安置されているとありました。
 午前の曲芸が済み、午後のサービス飛行での惨劇には人々を避けた冷静さに胸が痛みます。フランクさんの無念を思い、高知で散った命に、つつしんで合掌致します。

2.野党質問削減に反対
【田村芳房、92歳、佐川町】
 マスコミ報道によれば、国会での野党質問時間を議席数に応じた時間数に改めるよう、自民党から要求されているようであるが、私はこれには反対である。むしろ野党の質問時間を増やすべきだと思う。少数意見を尊重することは、民主主義の理念からすれば当然のことだと思うのである。
 先の衆院選で絶対多数を占めた自民党は「矢でも鉄砲でも持って来い」と悠然たる姿勢と思いきや、少数野党を恐れてか野党の質問時間削減をねらうとは。もっと堂々と野党と議論し渡り合ってもらいたい。加計・森友問題は、何も明らかになっていない。国民が疑惑を深めるのも当然だろう。
 今回の野党質問時間削減問題も、痛いところを追及され国民に知らされることを恐れての発想だろうが、国民の知る権利が侵される結果を招きかねない。報道によれば自民党が野党時代に質問時間を増やすよう要求しておきながら、与党になればそれを覆そうとしていると、野党は自民党提案を強く批判していると報じている。
 菅官房長官は、国民も同意するかのようなことを言っているようだが、国民の大多数は否定するだろう。質問封じには反対である。

3.画家・幸徳幸衛の凄み
【田中全、64歳、四万十市】
 幸徳幸衛の絵画がいま、県立美術館コレクション展「高知の洋画」の中で展示されているので見てきた。
 幸衛は幸徳秋水のおい(兄の子)。明治38年15歳の時、秋水に連れられアメリカに渡った。秋水はすぐに帰国したが、幸衛は絵の勉強がしたいと残る。
 しかし、まもなく秋水は大逆事件で刑死。身内としてアメリカでも迫害を受ける中、結婚、子も2人できたが、単身パリに修業に出た後、昭和4年一人でシベリア経由27年ぶりに中村に帰る。
 地元でも風景画などを描き続けたが、昭和8年43歳で病没。アメリカに残した家族には、会えないままであった。中村の縁者が所蔵していた幸衛遺品をこのほど県立美術館に寄贈。その中の絵画、スケッチブック、スーツケースなどが展示されている。
 幸衛は秋水刑死後、号を「死影」とした。展示の中の代表作、パリで描いた「眼のない自画像」は社会から白眼視され、踏みつけられた人間の崩された顔であり、鬼気迫るものがある。
 単なる絵画展ではない。大逆事件は秋水一族の人生をも歪(ゆが)めてしまったという、暗黒社会の襞(ひだ)に触れるような凄(すご)みがあった。

4.武吉孝夫写真展
【宮地毅、81歳、高知市】
 10月28日(土)の午後テープカットされ、「武吉孝夫写真展」の幕があきました。
 武吉氏が29歳のとき、桜井町に間借りして、6カ月間35ミリカメラで、立ち止まった目線の位置から撮った白黒写真です。この孕西町のもあり、写真の合間に次のような詩文がありました。床には当時履いていた靴が。

 あるきつかれて 見上げる空に 今日いちにちの茜雲/歩きつかれて 九反田橋に 月はぽっかり五台山/あるき疲れて のむ酒は ションベン横丁の まよい猫/歩き疲れて 見る夢は かぼそき路地の 鳳仙花

 氏はまた「なっちゃじゃない写真」と口にしますが、ここに展示された一枚一枚は、もう二度と戻ってくることのない郷土の記録であり、私たちの記憶を懐かしくよみがえらせてくれる映像資料であります。ただこの中には一人の英雄もスターも登場しません。代わりに41年前のあなたの姿があるかもしれません。
 この機会にぜひいちど、香美市立美術館に足を運んでみられてはいかがでしょうか。長寿者手帳を見せれば150円で入れ、中での写真撮りは自由です。会期は12月17日(日)までで、月曜日は休館です。

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