2017.11.10 08:00

【米中首脳会談】二大国の溝は埋まったか

 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談が北京で行われた。両首脳は、北朝鮮への経済的圧力の強化や貿易不均衡の是正などで合意した。
 習氏は共同記者発表で、トランプ氏の訪中は「歴史的成功」と胸を張った。確かに中国のトランプ氏への歓待ぶりは目立ったが、双方が世界のリーダーにふさわしい論議ができたのか疑わしい。
 両首脳は会談後、一方的な発表に終始し、記者の質問を受け付けなかった。ことし4月に米国で行われた2人の初会談は共同記者発表すらなかった。これでは大国のトップ外交とはいえまい。
 北朝鮮問題では、トランプ氏が、核放棄するまで経済的圧力をかけ続けることで一致したと説明。一方の習氏は、制裁とともに対話による解決の重要性も強調した。双方の温度差は明らかだ。
 核・ミサイル開発の暴挙をくい止めるには、米中の連携が不可欠なのはいうまでもない。だが、知恵を絞るのは、トランプ流の「力による平和」の実現ではなく、対話による解決であるべきだ。
 経済制裁の先も、対話は必要になる。両首脳は対話の道筋について突っ込んだ論議をし、国際社会に示すべきだ。
 歴代の米政権が、米中首脳会談で改善を求め続けてきた中国の人権問題も論議にならなかった可能性が高い。発表がなかった。
 中国は人権派弁護士や民主活動家への弾圧を強めている。オバマ前大統領の時は激しい応酬となり、米中関係が冷え込んだほどだ。
 人権問題では、トランプ氏自身がイスラム圏からの入国規制などで国内外で批判を浴びている。二大国トップの人権意識が問われよう。
 経済分野では、貿易不均衡の是正の一環で、日本円にして28兆円を超える商談がまとまった。両国の経済規模の大きさを示すスケールだが、数字で会談の成果を演出した面はないだろうか。
 トランプ氏は日本にも不均衡の是正を強く求め、先の日米首脳会談では米国製武器の購入拡大を求めた。数字が躍る交渉が前例になることには警戒が必要だ。
 共同記者発表で習氏は「太平洋には中国と米国を受け入れる十分な空間がある」とも強調した。
 中国がアジア太平洋地域の秩序維持に積極的に関わる意志を改めて示したといえる。米国の好きにさせないという強いメッセージだ。
 習氏は先の中国共産党大会でも世界トップレベルの総合力と国際的影響力を持つ「社会主義現代化強国」の完成を掲げた。経済力や軍事力をさらに拡大させ、米国を中心とする国際秩序に挑む考えだ。警戒せざるを得ない。
 国際社会にとって米中関係の安定や深化への期待は大きい。世界の平和や均衡ある発展のためであり、決してゆがんだ秩序づくりのためではない。
カテゴリー: 社説


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