2017.11.03 08:00

【カタルーニャ】歩み寄りで分断を防げ

 スペイン・カタルーニャ自治州の独立問題が、州政府と中央政府の真正面からの衝突に発展し、混迷の度を深めている。
 中央政府は、州政府のプチデモン首相ら閣僚を解任。司法当局は州首脳らを「反逆」容疑で捜査を始めた。州議会の解散を命じるなど、自治権を事実上停止する措置だ。
 一方の州議会は、公式に独立を一方的に宣言した。事態を収拾することは容易ではなく、国家的危機に陥ったといえる。
 ことの発端は10月1日に自治州で行われた住民投票だ。中央政府や憲法裁判所の違憲判断を無視して強行され、「投票率43%、独立賛成90%」という結果が発表された。
 カタルーニャは、スペイン語のほかに固有の言語を公用語とするなど独自の歴史と文化を持つ。戦後のフランコ独裁政権で政治、文化的弾圧を受けたことも「反中央」の気質を強める素地をつくった。
 問題は住民投票の低い投票率にある。最近の世論調査では独立賛成派と反対派が拮抗(きっこう)しているか、むしろ反対派が優勢で、その多くが棄権したとみられる。しかも投票は、選挙管理委員会や中立の選挙監視団も置かないまま行われた。
 これでは国際社会の支持は得られない。欧州連合(EU)や米国は中央政府を強く支持している。プチデモン氏ら独立派がなぜ世論の劣勢を無視して強行突破を図ったのか、大いに疑問が残る。
 一方、中央政府のラホイ首相も反省すべき点がある。住民投票を阻止するために警官隊を投入し、投票を求める住民との衝突で多数の負傷者を出した。強硬措置は独立派の態度を硬化させるだけだろう。
 中央政府は州政府との協議を一貫して拒否している。ラホイ氏はプチデモン氏らを「無法者」と呼ぶなど過激な批判を続けている。こうした姿勢は社会の一層の分断を招く。
 ラホイ氏は新たな州議会の選挙を、12月21日に行うことを決めた。EUの支持や世論の動向から、早期に選挙をすれば「勝てる」という強気の読みがあるのだろう。
 既に経済的な影響が出ているのも気掛かりだ。
 カタルーニャが独立した場合、EUやユーロ圏から離脱しなければならなくなる可能性が高い。関税免除などの恩恵が受けられなくなる懸念から、企業が他州に本社を移転させるケースが続出している。世界的な観光地・バルセロナでも、客足が鈍っている。
 欧州では英スコットランドやイタリア北部2州など、各地で分離独立の動きがある。EUが中央政府を支持するのは、その波及を懸念してのことだろう。
 だがこれほどの問題になる前に、当事者間の話し合いが一度も行われていないのは、やはり異常だ。EUは積極的に仲介の労をとるべきではないか。スペインの中の分断、カタルーニャの中の分断は双方を損なう。歩み寄りの努力しかない。
カテゴリー: 社説


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