2017.11.02 08:00

【問われる野党】連携して対抗軸立てよ

 安倍首相が第4次安倍内閣を発足させ、12月で5年を超す政権運営をスタートさせた。
 閣僚メンバーは、安倍首相が8月に「仕事人内閣」と銘打った改造内閣の全閣僚が再任された。閣僚任命とはそれほど軽々しいものなのか。改めて「何のため」の解散だったのかとの疑問を強くする。
 安倍政権は、アベノミクスの「加速」をはじめ、消費税増税分の使途変更による「全世代型の社会保障」への転換、北朝鮮対応などを前面に掲げ、国政に当たる。
 憲法改正にも一層前のめりになろう。自民党は衆院選で重要公約に初めて位置付け、安倍首相が独自提案した「自衛隊明記」など四つの具体案を示した。来年中にも国会発議を念頭に置く。
 どれも国の針路を方向付け、国民生活に直結する政策課題である。これまで安全保障法制や「共謀罪」法などの審議で、安倍政権が繰り返してきた「数の力」に任せた強権的な国会対応は許されない。
 そこでは、政権に対峙(たいじ)する野党勢の存在もより問われる。
 野党第1党だった民進党は新党・希望の党への合流に失敗し、所属議員が分裂した。衆院選後の野党勢力は、リベラル系の立憲民主党を第一党に保守系の希望の党、元民進党幹部らの無所属の会などの党派に構成が変わった。
 衆院議席の3分の2を超える巨大与党にどう対抗していくか。野党再編に向かうとしても、中心軸のない「数合わせ」では野合に終わる。立憲民主党の枝野代表も現状では再編を否定している。
 改憲でも方針はそろっていない。希望の党は9条を含む改憲議論と安保法制を容認し、立憲民主党は安倍政権下の9条改正に反対、安保法制も違憲とする。共産、社民両党は護憲だ。基本政策で一致できない以上、当面は原発政策など方向性を一にする政策で連携し、堅固な対抗軸を打ち立てていくべきではないか。
 その先例にもなり得るのが、森友、加計学園問題の疑惑解明だろう。だが、自民党は既に予防線を仕掛けてきている。与野党の質問時間の配分の変更である。およそ「2対8」で野党に多い配分を削り、議席数に応じて与党に厚くする―という見直し案だ。
 与党は議案の作成過程で「事前審査」できるため、野党の質問を手厚くするのが慣例だった。与党の追認質疑より立法府のチェック機能を重視するという、議会制民主主義の極めてまっとうな姿である。自民党が野党だったときも踏襲された。
 安倍首相への追及をかわそうとしているとしか見えない。国民の多くが首相の説明に納得していないのは世論調査でも明らかだが、衆院選大勝を盾にした自民党の「1強」の横暴と言うほかない。
 野党勢は国民世論も巻き込んで後押しにし、自民党の強硬な振る舞いを跳ね返せるか。さっそく、野党連携の試金石になろう。
カテゴリー: 社説


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