2017.11.01 08:00

【特別国会】安倍首相は審議に応じよ

 自民党が大勝した先の衆院選を受けた特別国会がきょう召集される。安倍首相が第98代首相に指名され、第4次安倍内閣が始動する。
 野党側は安倍首相の所信表明演説を含めた実質審議の十分な確保を要求しているが、与党側は否定的な構えだ。国民の虚を突く解散を強行した首相には国会で説明責任を果たすべき課題が山ほどある。審議に誠実に応じるべきだ。
 唐突な解散劇には「森友、加計学園問題の追及逃れではないか」との疑念が張り付いたままだ。衆院選での世論調査でも国民不信の根深さは明らかで、選挙の勝利でみそぎになったわけでは全くない。
 安倍首相は通常国会で野党の追及のさなかに国会を閉じ、国民の猛反発を招いた。内閣支持率は急落し、東京都議選でも自民党は惨敗した。安倍首相は「反省」「丁寧な説明」を誓いながらも、いまだ十分に果たしていない。
 野党の憲法に基づく臨時国会召集の要求を約3カ月も放置した上、召集した途端に冒頭で解散した。所信表明演説もせず、審議を封じた。選挙で野党は公文書管理の問題も絡めて疑惑解明を訴え、争点の一つになったが、首相が街頭演説で触れることはなかった。
 政府・与党は臨時国会召集にもなお応じない方針だ。解散前、働き方改革関連法案などを秋の臨時国会で成立させようと急いでいた政府方針とも矛盾する。
 トランプ米大統領の来日など外交日程を理由に挙げるが、特別国会が100日以上の長期になった例は過去に何度もある。憲法は、衆参両院議員のいずれかの4分の1以上が臨時国会召集を要求すれば、内閣に応じるよう義務付けている。
 選挙中には首相自身が「選挙後、野党から質問があれば丁寧に答えたい」とも約束した。選挙のためのその場しのぎだったとすれば、国民への愚弄(ぐろう)にも等しい。国会軽視と言うほかなく、与党内からも国民批判の再燃を危惧する声が噴出しているほどだ。
 政権延命のための政略に走ったような解散だっただけに、選挙公約も急ごしらえだった。自民党は憲法改正を初めて重要項目に格上げしながら、安倍首相は選挙演説ではほとんど語っていない。国民に正面から「信」を問うたとは言えまい。
 自民党は審議を拒むばかりか、国会での野党の質問時間を減らし、議席数相応に与党枠を増やす案まで持ち出した。野党の質問封じに等しく、立法府の政権チェック機能を後退させかねない。「少数意見の尊重」という民主主義の基本ルールにもそぐわない。
 選挙結果は、安倍政権の継続が選択された。だが、共同通信の投票所出口調査では首相を「信頼していない」は51%にも上った。有権者が「1強」政権に求めるのは、安倍首相自身が選挙後に口にした「謙虚で真摯(しんし)な政権運営」である。国民はその有言実行を迫っている。
カテゴリー: 社説


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