2016.02.04 11:34

小社会 きのうの節分、きょうの立春について、美術家の…

 きのうの節分、きょうの立春について、美術家の篠田桃紅(とうこう)さんが面白い解釈をしている。鬼は外からその家を狙って攻撃してくるのではなく、家の中の人の心にすみつきそうになったので、豆と一緒に追い出すというのである。

 寒い冬は外出も控えがち。家の中で同じ顔を突き合わせ、言わなくてもいいことまでつい言ってしまう。鬱屈(うっくつ)した心が高じて、ああ、春が待ち遠しいという思いが頂点に達するのが立春だという。

 こんなときには少々寒くても、気分転換に外出するのも一興ではないか。梅の花はもうほころんでいる。冬の季語である「探梅」は、きょうから「観梅」に替わる。

 詩人の村野四郎さんに「花」という小品がある。その一節。〈いちりんの花をとって/その中を ごらんなさい/じっと よく見てごらんなさい/花の中に町がある/黄金(きん)にかがやく宮殿がある/人がいく道がある 牧場がある〉。

 スイセン、オウバイ、フクジュソウ…。「名のみの春」にもいろいろな花が咲く。いま一番大変なときを過ごしている受験生も、自然と接するなどして、いっときの休憩を。篠田さんの随筆ではないが、不安やイライラなど心の中の悪いものを追い出すことも必要だ。

 立春の日、禅寺などでは「立春大吉」の4文字を書いた紙を、門口に張るところが多いという。無事受験が終わった春本番に、「大吉」の札をつかめるよう、ご健闘を祈る。
カテゴリー: 小社会コラム


ページトップへ