2017.10.28 14:40

カツオ保護へ企業人集結 高知カツオ県民会議発足8カ月

「土佐の一本釣り」操業光景のコラージュ。次世代にカツオを残せるかどうかの分岐点を迎えている
「土佐の一本釣り」操業光景のコラージュ。次世代にカツオを残せるかどうかの分岐点を迎えている
 「高知カツオ県民会議」の設立から8カ月が過ぎ、カツオ資源の再生・保護という目標に向かい、四つの分科会での議論が熱を帯びてきた。参加した県内企業人たちは、カツオ不漁が深刻化した日本の立場を諸外国にどう理解してもらうかなど、理論の構築に汗を流している。

 「県魚のカツオとカツオ産業が、資源悪化に伴い窮地に陥っている。土佐の人間として、これを何とかせないかん」

 そうした危機感を背景に県民会議が発足したのは今年2月。会長に尾﨑正直知事が就任した。

 金融業、飲食業、メディア…。多彩な業種の人たちが集まり、「消費・漁業」「情報発信」「資源調査・保全」「食文化」の4分科会で討議を重ねてきた。

 ■店の視点
 土佐の一本釣りや引き縄に代表される、持続可能な漁業をビジネスに結びつける―。その仕組みづくりの議論を担うのが「消費・漁業」分科会だ。

 同分科会の中でメンバーの一本釣り船主たちが当初期待を示したのが、「海のエコラベル」だった。

 一般的に資源に優しい漁法は、そうでない漁法よりもコストがかかる。エコラベルはそうした水産物を認証し、店や消費者の購入を促して漁業者を応援する仕組みで、欧米で普及している。

 しかし県内量販店の経営者らからは、懐疑的な見方が示された。

 「高知の消費者が求めるのは鮮度と味覚」「県外客も含めて、エコラベルは付加価値にならないのでは?」「地域に貢献したいが、売れない商品を仕入れることはできない」

 船主の一人は「われわれが思い描いていた漁業再生策と、消費者の感覚には溝があることが分かった。とはいえ、これまで接点のなかった量販関係者との議論から得るものは多い。今後に期待したい」と話す。

 「情報発信」分科会が掲げる目標は「オール高知からオールジャパンの運動に」。このほどホームページを開設し、将来的にはカツオ資源問題を取り上げた高知新聞記事などを閲覧できる「アーカイブ機能」も追加するという。

 「資源調査・保全」分科会は、超音波を利用した最先端の「ピンガー標識」を土佐湾のカツオ個体に付け回遊行動を探ろうと計画。既に活用している研究者や、機器メーカーを招いて勉強会を開いている。

 「食文化」分科会では、「カツオマイスター」制度の創設を目指している。目利きのプロである仲買人も交えて議論を進め、だしに関する知識も深めている。

 ■黙っておれん
 県民会議には多くの県内企業トップが参加し、会合に自ら足を運び、質問と提言を繰り返している。

 耕運爪の製造で知られる「太陽」(高知市)社長、久松朋水さん(64)もそんな一人だ。

 「この高知でカツオを食べられなくなるのは、ありえない話。今、活動すれば何とかなるのであれば、皆で手を携えようと。諸外国の理解もいる。遠大な話だが、逆にやりがいがあると思わねば」

 山崎技研(香美市)の山崎道生会長(66)は、強固な理論構築の必要性を指摘する。

 「『おまんら(諸外国)が捕るき、俺が捕れん』だけの主張では説得力がない。『人類皆が理性を持って、話し合いで解決しよう』と。そういう博愛的な巨大な論法でいかんと無理。解決は強烈に難しい。かといって、黙ってもおれん」

 県民会議の設立に奔走した土佐料理店経営、竹内太一さん(64)は「経済合理性だけでなく『自然と人間の共存』を追い求める。そこが高知の“とんがった”ところ」と盛り上がりを歓迎する。

 同会議は11月9日、高知市文化プラザで第2回のシンポジウムを開く。メンバー有志は、12月にフィリピンで開催されるWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)会合の傍聴や、各国関係者との交流も計画。

 カツオは各国の利害が絡む国際資源。日本への来遊を取り戻すためのハードルは多いが、「カツオ県」を挙げた論議と模索が続く。

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カテゴリー: 政治・経済主要カツオ県民会議社会


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