2017.10.27 08:00

[2017衆院選] 検証与野激突(下)「1強」民意どう反映

改憲論議の加速も予想される中、一票を託された選良には民意をくみとった熟議が求められる(22日午後、南国市内の投票所)
改憲論議の加速も予想される中、一票を託された選良には民意をくみとった熟議が求められる(22日午後、南国市内の投票所)
 22日に投開票された衆院選は、与党が3分の2の議席を得る大勝で、安倍政権の継続が決まった。高知県では、10選を目指した自民党のベテラン前職2人が明暗を分け、2000年から続いた小選挙区の独占が崩れた。県内与野党の激突を検証する。

 人口減少による地域の疲弊にあらがう高知県。衆院の小選挙区が3から2に減り、さらに参院選挙区の合区で国会議員枠が減っていく中、今回の衆院選では、結果的に本県関係の衆院議員は4人から6人に増えた。衆参で計9人。中央に届ける「声」は厚みを増すことになった。

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 高知2区を制した無所属新人の広田一氏と、比例四国で復活した自民党前職の山本有二氏。2人は、高速道路延伸や南海トラフ地震対策など、地域の衰退を押しとどめる基盤整備をそれぞれ訴えたが、中央に対する“発言力”の評価は特に郡部で交錯した。

 「公共事業の確保には、与党重鎮の山本氏の力が必要だ」(幡多の建設業者)

 「地道に地域を回り、県民の問題をくみ取れるのは広田氏」(中西部の市議)

 2区のある首長は「これから政府の来年度予算編成をにらみ、要望活動に力を入れる時期。与野党を問わず支援を求めていく」。高知市の岡﨑誠也市長も「野党も含めてチャンネルが多いことは地方にメリットがある」と受け止める。

 利益誘導的な発想は、地方分権からは程遠いとも言えるが、「アベノミクスの恩恵が十分に地方に波及していない」という認識は県内の全候補でおおむね一致していた。県や市町村と連携した地域の再生へ、国会議員たちの力量が問われる。

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 安倍晋三首相が「国難突破」とぶち上げた解散総選挙は、憲法への自衛隊明記や合区解消など、憲法改正を公約の柱に据えた自民党が大勝した。

 「各党と議論を活発にしていきたい。実現できるよう謙虚にやっていく」

 投開票日の22日夜、高知市内のホテル。早々に当確を決めた高知1区の自民前職、中谷元氏が取材にそう答えた。自民の憲法改正草案の起草委員長も務めた元防衛相の目線は、既に改憲実現に向けられていた。

 希望の党、公明党、日本維新の会を合わせた改憲勢力は国会発議に必要な3分の2(310)を優に超える370議席余りに達した。野党第1党となった立憲民主党は「安全保障法制を前提とした9条改悪には反対」としつつ、首相の解散権制約の議論には前向きだ。

 「これから安定政権が続いていくことになる。憲法論議が一斉に加速していく」。投開票の翌日、尾﨑正直知事はそう見通した上で、注文を付けた。

 「野党も力を発揮し、合区解消や地方分権の強化など、全体としてバランスの取れた議論が大事だ」

 高知新聞社などが公示後に行った県民世論調査では、「9条を含めて改正すべきだ」「9条を除けば改正してもよい」が計50・4%となり、近年4回の調査で改憲容認派が初めて過半数になった。一方で、公示前の調査で「安倍政権下の改憲」に賛否を問うと、反対が57・6%で、30・8%だった賛成の2倍近くに上った。

 「安倍1強」下で、この複雑な民意を憲法論議にどう反映させていくか。今回当選した与野党6人には、それぞれの立場で熟議の先頭に立つ気構えが必要となる。



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