2017.10.26 08:00

【中国新指導部】「1強」と「強国」の危うさ

 中国共産党大会が閉幕し、中国を今後5年間率いる新しい指導部が発足した。
 習近平総書記(国家主席)への権力集中がさらに進み、「1強」体制はより強固になっていく。その習氏が明確にした大国主義路線は国際社会に大きな影響を及ぼさずにはおかないだろう。
 共産党の最高指導部を構成する政治局常務委員は習氏と李克強首相が留任し、5人が交代した。ただし、習氏の後任と目される50歳代の次世代は一人も入っていない。
 5年後に2期10年の任期を終える習氏が慣例を破って、3期目を目指すのかどうかはまだ分からない。後任候補を外したのは、自らの権力基盤を揺るぎないものにする狙いがあるとみられる。
 習氏は自らの権威付けにも成功した。党大会で改正された党規約に、習氏の掲げる理念が「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」として明記されたのだ。
 名前を冠した指導思想が入ったことで、建国の父である毛沢東主席、改革開放を推進した鄧小平氏に次ぐ歴史的な権威を手にしたといってよい。イデオロギーを重視する政党だけに、その意味は大きい。
 党大会で、習氏は今世紀半ばまでの目標として、世界トップレベルの総合力と国際的影響力を持つ「社会主義現代化強国」の完成を掲げた。経済力や軍事力を背景に、米国を中心とする既存の国際秩序に挑む、との宣言といえる。
 中国は既に米国に次ぐ世界2位の経済規模となり、国防費も同様だ。現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」によって世界経済への影響力を高めるとともに、軍事力の強化や海洋進出をさらに進めていくとみられる。
 南シナ海での権益主張と軍事拠点化は、中国の覇権主義的な姿勢の表れだろう。今後、「強国」路線を推し進めていけば、米国や日本をはじめとする周辺国との摩擦の激化や緊張の高まりは避けられない。
 大国化の一方で、国内では格差拡大や環境汚染、少数民族問題などの矛盾が一段と大きくなっている。価値観の多様化も進む。だが、新指導部はこれまで以上に言論の統制を強め、異議申し立てを許さない独裁体制を強化していくに違いない。
 一党独裁と「1強」体制の強化によって、国内では習氏をけん制する力が一段と弱まるだろう。毛沢東時代のような個人独裁の社会が再来すれば、習氏の判断が国内、国際社会を揺るがす危うさがある。
 いま中国に求められるのは責任ある大国としての自覚と行動だ。世界の安定化に反するような動きがあれば、国際社会が結束してけん制していくしかないだろう。
 11月初めにはトランプ米大統領が日本、韓国に続いて中国を訪れる。首脳会談は北朝鮮問題が中心となるだろうが、自国第一主義の応酬ではなく、国際情勢の安定につながる建設的な話し合いを求めたい。

カテゴリー: 社説


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