2017.10.24 08:00

【審判を終えて】大勝を謙虚に受け止めよ

 約5年に及ぶ「安倍政治」の評価が問われた衆院選はきのう、すべての議席が確定した。
 自民党は議席が過半数ラインを大きく上回り、国会運営を主導できる絶対安定多数を単独で確保した。公明党を含めた与党では、憲法改正の発議が可能な3分の2を超えた。
 形の上では自民党の圧勝と言ってよいだろう。安倍政権の継続も事実上決まった。
 ただし、安倍政権が積極的な信任を受けたとは言えまい。直近の世論調査では、内閣支持率は不支持を下回っていた。森友・加計学園問題に対する政府の姿勢にも厳しい声が相次いでいた。
 敵失に救われた面があろう。野党第1党だった民進党が解党に陥り、野党全体が混乱した。勢いがあった新党の希望の党も、代表の小池東京都知事が候補者選びを巡る「排除」発言で失速したからだ。
 超大型の台風21号が列島を襲い、投票率が戦後2番目に低い水準にとどまったことも無視できない。
 比例代表の得票率は自民党は30%台でトップだったが、立憲民主党と希望の党の合計より下回った。民進党が分裂しなければ、違った戦いになった可能性を示している。
 自民党は大勝をもたらした民意を誤解してはならない。選挙結果を謙虚に受け止める必要がある。 
 安倍首相はきのうの記者会見で、「今まで以上に謙虚で真摯(しんし)な政権運営に努めていく」と述べた。そうならば、今後の国会運営で示してもらいたい。
 安倍政権の約5年を振り返ると、国民には謙虚な政権運営を言いつつ重要法案を強引な手法で成立に持ち込む場面が繰り返された。
 今回の解散総選挙とて疑問だ。突然の解散は、森友・加計学園問題の追及をかわし、野党の勢力をそぐ党利党略に映る。選挙戦でも、国民の目が厳しい憲法改正などは積極的な説明が聞かれなかった。
 来年には総裁選、再来年には参院選がある。安倍政治がこれまでと変わらぬおごりを引きずるなら、厳しい審判が予想されるだろう。
 特別国会は来月1日に召集される見込みだ。年明けには通常国会も始まる。
 選挙戦では自民党だけでなく、希望の党や日本維新の会も改憲を掲げた。教育無償化は各党が打ち出したが、財源確保は難しい。財政再建も避けては通れないはずだ。
 森友・加計学園問題もこのまま終わらせてはならない。国会で丁寧な論議と説明を重ねる必要がある。
 それには健全な野党の存在が不可欠だ。立憲民主党が野党第1党となったが、議席数は自民党の5分の1にも満たない。野党は国会戦略の強化が急がれる。場合によっては連携も必要だろう。
 ただ離合集散を繰り返しては支持は広がらない。まずは、選挙戦で不十分だった政策の中身をしっかりと磨き、党の方向性を国民に示していくことが大切だ。
カテゴリー: 社説


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