2017.10.23 08:25

[2017衆院選] 「自民独占」崩す 高知県内2選挙区

 自民の牙城崩し、世代交代―。衆院選は10月22日投開票され、高知2区の無所属、広田一さんが激戦の末、10選を目指した自民党の山本有二さんを破り初当選。全国的には与党が圧勝する中、選挙戦を通じて訴え続けた「世代交代」を実現した。山本さんは比例で復活した。高知1区は中谷元さんが貫禄の戦いで、希望の党の大石宗さんと共産党の松本顕治さんを退け10選。比例四国は、反与党の追い風を受けた立憲民主党の武内則男さんが当選確実。自民党の福井照さんが7選、公明党の石田祝稔さんが8選を確実にした。

タイを手に当選の喜びをかみしめる広田一さん(高知市潮新町2丁目)
タイを手に当選の喜びをかみしめる広田一さん(高知市潮新町2丁目)
広田さん 野党団結呼び大仕事 高知2区
 雨音を吹き飛ばすような拍手が延々と続いた。広田一さん(49)はもみくちゃにされながら高知市潮新町2丁目の事務所で支持者と抱き合い、喜びを爆発させた。比例復活のない背水の陣で立ち、野党共闘で臨んだ挑戦。10期目を目指す元閣僚の自民前職を退けた。

 県連代表を務めていた民進党が一夜にして消えた。希望の党と立憲民主党から誘いがあり、支持者から「比例復活でもよいので、まずは議員バッジを」との助言も受けた。

 だが、解散、離合集散と、めまぐるしく展開する政界を冷静に見つめた。「安倍政権を『おかしい』と思う有権者たちの受け皿が今こそ必要だ」と、無所属で勝負に出た。

 自民党県連会長も務めた父を見て育ち、早稲田大時代は学業の傍ら、後に首相となる小渕恵三氏のかばん持ちも務めた。一端を知る自民党を「郵政選挙で造反した議員に刺客を送るなどし、力のある者に異論が挟みにくくなった」とみる。

 県議を2期務めた後の2001年、参院選に出馬。師と仰ぐ橋本大二郎知事(当時)の支援による初挑戦は敗れたが、3年後の参院選で初当選。旧民主党政権下は防衛政務官を任された。

 後の安倍政権が推し進めた解釈改憲や安保法制には強く反対。同僚と問題点を洗い出し、対案を練って反論した。

 「安保法制は違憲。時の政権が数の力で憲法の解釈を変えるのはおかしい。立憲主義が揺らいでいる」という近年の一貫した主張と、実直な人柄。政党を超えた幅広い共感を集め、県内野党の大同団結を呼び込んだ。

 歓喜に沸き立つ事務所。台風が接近する中、支持者がずぶぬれで駆け付けた。広田さんは支持者らに繰り返し礼を述べ、「安倍政治を変えたいという幅広い層の思いが集まった結果だ。今後も自民党と切磋琢磨(せっさたくま)できる野党勢力を結集することが大事だと思う」と力強く話した。

 「長年続いた古いしがらみの政治を変えたい」。無心に駆け抜けた挑戦者が、大仕事をやってのけた。


盤石の戦いで10選を決めた中谷元さん(高知市本町2丁目)
盤石の戦いで10選を決めた中谷元さん(高知市本町2丁目)
中谷さん 真面目な政治誓う 高知1区
 「政治家には耳が必要。国民の気持ちを反映した真面目な政治をしたい」。安倍1強のおごりや緩みが指摘される中、自民党の中谷元さん(60)は民意の大切さを訴え続け、圧勝で10選を決めた。

 選挙戦後半の5日間は県外候補の応援のため選挙区を離れたが、9期の経験と実直な人柄に対する信頼は揺るがなかった。

 限られた時間で選挙区をくまなく回り、安全保障や憲法改正、社会保障といった政策を真正面から訴えた。

 特に安全保障については、ほとんどの演説場所で時間を割いて語った。北朝鮮や中国の脅威に触れ「何が起こるか分からない。世界が大きく変わってきている」と強調。防衛相時代に成立した安全保障法制が大きな抑止力になっていると実績をアピールした。

 早々に当選の報を受け、高知市本町2丁目のホテルでは約100人の支持者が拍手で祝福。中谷さんは「政治家として初心を忘れず、筋を通して誠心誠意、有権者の声を届けたい」。還暦と10選の節目に、原点回帰を誓った。


比例復活を決め、握手を交わす山本有二さん(高知市萩町1丁目)
比例復活を決め、握手を交わす山本有二さん(高知市萩町1丁目)
山本さん 「奇跡」の復活喜ぶ
 9期27年を務めた大ベテラン、自民党の山本有二さん(65)は小選挙区で敗れたが、比例で復活、10選を決めた。高知市萩町1丁目の事務所で、「ほんっとに奇跡の当選だ」と感極まって語った。

 「こんな戦い、夢にも思わなかった」と言う。農相退任から間もない予想外の解散。在任時は高知県になかなか帰れず、完全に出遅れていた。「野党共闘は完全に脅威。2馬身は負けている」と焦りは隠せなかった。

 演説では「崖っぷち」「土俵際」と何度も危機感を伝えた。「世代交代」を強調する相手に対し、道路整備や防災事業に尽力してきた実績をアピール。農相の経験を基に農業振興も訴えたが、一方で現場の農家には環太平洋連携協定(TPP)の承認に対する不満も渦巻いた。

 県外へ応援に出向いた前回衆院選とは異なり、期間中はずっと県内を駆け巡った。投開票日前夜は「(負けも)覚悟している。何の恐怖感も躊躇(ちゅうちょ)もない」と語った。

 小選挙区での敗北を「全て私の不明不徳」と頭を下げた。「もう選挙に出ることはない」と引退を考え、須崎市の自宅にいったん戻ったが、23日午前1時すぎ、比例復活の報道で再び事務所入り。支持者を前に「支えてくれた人がここまで持ってきてくれた」と深謝の言葉を重ねた。

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