2017.10.23 08:00

【衆院選高知】自民の牙城崩した「共闘」

 衆院選の本県小選挙区は、2区で無所属新人の広田一氏が自民党前職の山本有二氏を破り初当選を果たした。1区は自民前職の中谷元氏が勝利した。
 自民は定数3だった2000年衆院選から前々回まで、5回連続で議席を独占してきた。定数2となった前回14年も中谷、山本両氏が勝利している。そんな自民独占の「牙城」の一角が崩れた意味は重い。
 広田氏勝利の要因は、与野党による「1対1」の対決の構図が生まれたことに尽きる。
 民進党県連代表だった広田氏は、衆院選の直前に同党が「合流」した希望の党には加わらず、無所属で出馬した。希望の党を「自民の補完勢力」とみる共産党が、広田氏との共闘を実現させるため2区で擁立した新人候補を取り下げた。
 これにより野党支持者や保守層、無党派層に対して、政権批判票を幅広く受け止めることが可能な選択肢を示したことが大きい。
 高知新聞社などが衆院選に合わせて行った県民世論調査では、経済政策「アベノミクス」での景気回復を「実感していない」との回答が8割を超えた。行政の公平性が問われている「森友・加計問題」への政府の説明にも、「納得できない」が約8割を占めている。こうした政権への不信感が、与野党対決で噴き出したとみていい。
 「与野党伯仲が望ましい」と考える人も、最多の4割余りに上っていた。1、2区を与野党勢力で分けたのは、県民がバランス感覚を働かせた結果とも言えるだろう。
 1区では防衛相を務めた中谷氏が知名度の高さと分厚い支持基盤を生かし、民進から希望に移った新人と共産新人の挑戦をはね返した。政権批判票が分散すれば、保守地盤を切り崩すのが難しいことも改めて示された。
 民進のリベラル系議員が中心となって結成した立憲民主党は、躍進が伝えられる。四国では民進党県連の代表代行だった武内則男氏が唯一、比例代表に出馬し議席を得た。
 民進県連からは候補者が立憲民主、希望、無所属と三つに分かれたが、選挙後にどんな関係をつくっていくのか。これからも政権批判票を取り込み、支持を広げていけるのか。見通せない部分がある。
 民進は旧民主党時代から、地方の支持基盤や組織力の弱さが指摘されてきた。2区での広田氏勝利を、自民候補と常に対抗し得る態勢の構築につなげられるか。野党側にそれができなければ、有権者の期待はまた急速にしぼんでいくだけだろう。
 全国的には自民、公明の与党が圧勝の勢いを見せている。しかし、それも有権者から盤石の支持を得ているわけではあるまい。
 勝利におごらず国民の批判には謙虚に耳を傾け、丁寧に説明を尽くす。与党にそうした姿勢がなければ、「安倍1強」は意外にもろいのではないか。本県小選挙区の結果がそれを示唆している。

カテゴリー: 社説


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