2016.04.05 09:31

小社会 詩人で画家でもある辻まことは大正初期、ダダイスト…

 詩人で画家でもある辻まことは大正初期、ダダイスト辻潤と女性解放運動家の伊藤野枝の間に生まれた。母は関東大震災の直後、無政府主義者の大杉栄とともに憲兵隊に虐殺されている。

 そんな経歴からか、まことの画文集「虫類図譜」は、政治や経済、文化、風俗を虫に見立てて辛辣(しんらつ)に批評する。〈防衛〉は「この甲虫は恐怖からわいた」。〈愛国心〉「悪質きわまる虫」。〈組合〉は「骨がない」など…。

 われわれの属するマスコミという虫にも容赦はない。「原種は井戸端、床屋、浮世風呂に見られたが、後に大家の隠居部屋で半痴愚種が育てられた」。耳が痛い比喩だ。

 今、メディアの中でも特に元気のなさが目立つのは、NHKや民放キー局の報道番組。安倍政権は意に沿わない内容の番組を、「偏向」と決めつけるかのような空気がある。自民党が放送局の幹部を呼びつけて事情聴取したり、総務相が電波停止を命じる可能性に言及したりするのは異常だ。

 そんな中、週刊文春と週刊新潮が、政治家や著名人の疑惑を続々とあばき、奮闘している。週刊誌と新聞の違いはあれど、面白くていい記事はやはり読まれる。こちらも負けてはいられない。

 新聞の出自は井戸端会議のようなものかもしれないが、現代では民主主義を支える大事な役目を負っている。萎縮の虫などは蹴散らし、権力に迎合することなく骨っぽくありたい。あすは「新聞をヨム日」。
カテゴリー: 小社会コラム


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