2017.10.19 08:00

【2017衆院選 地方創生】このまま失速するのか

 地方の疲弊はここまで進んでいるのか。ことし本県から衝撃的なニュースが、全国に発信された。
 土佐郡大川村が議員のなり手不足から、議会に代わって全有権者が直接参加する「村総会」の検討に入ったことだ。結論は「議会は今後も存続できる」として村総会の研究は保留となったが、村政の危機が完全に去ったわけではない。
 大川村の問題は県から総務省へと広がった。「人ごとではない」という地方自治体が、全国に広がっているからだ。
 安倍政権は2014年9月、人口減少問題や地方活性化に取り組む政府の「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げた。東京一極集中の是正を目指し、地方創生の旗を掲げて3年がたつ。
 しかし成果は乏しく、対策は手詰まりの状態だ。首相のいう「異次元の大胆な政策」とは裏腹に、早くも失速感さえ漂っている。この衆院選でも注目度は決して高くはない。
 東京圏は16年も、転入者が転出者を11万7千人以上上回る「転入超過」だった。東京23区から移転する企業への減税制度の利用も、ことし8月末時点で17社しかない。
 どこに原因があるのか。
 まず首相の経済政策アベノミクスの恩恵が、全国津々浦々まで行き届いていない。大企業が少ない地方と都市部で、地域間の格差が拡大してもいる。
 政府の地方創生の総合戦略は、国が標準的な発展モデルをつくって地方自治体に人口減少対策づくりを求める手法だ。内容を審査して交付金の配分先や額を決める。
 これは国が決めた方向に沿った政策に、自治体を誘導するやり方だ。昔ながらの「ひも付き補助金」と何ら変わらないといえる。
 地方創生といいながら、中央集権的な手法を取れば、地域の独創性や多様性を生かした発展の芽をつみかねない。使途を限定しない「一括交付金」のような手法が妥当ではないのか。
 それでも地方は雇用創出や移住促進など、地道な政策に取り組んでいる。その一方で、政府は「異次元」「大胆」な政策を本気で実行しているのかどうか疑わしい。
 それを象徴するのが、看板政策の頻繁な掛け替えだ。地方創生、女性が輝く社会、1億総活躍、働き方改革と移り変わり、揚げ句は「人づくり革命」などという、意味不明のものも出てきた。
 とりわけ「1億総活躍社会」は総花的であいまいだ。幅広いといえばそれまでだが、その分、「地方創生」への力の入れ方がぼやけてしまわないか。
 地方創生の盛り上がりが失速していることに、石破・元地方創生担当相は苦言を呈し、地方の首長からも不満の声が上がり始めた。失速がやがて雲散霧消にならないか、大いに気掛かりだ。
カテゴリー: 社説


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