2017.10.18 08:00

【2017衆院選 エネルギー政策】原発の行方を決定付ける

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働審査で、原子力規制委員会が事実上の合格を出した。
 福島第1原発事故の責任企業である東電に、事故後初めて再稼働を認めたことになる。福島第1原発と同じ沸騰水型炉にゴーサインを出したのも初めてだ。
 実際の再稼働には地元同意が必要なため、運転の開始はなお見通せないが、日本の「原発回帰」の強い流れを改めて感じさせる。
 今回の衆院選は、日本のエネルギー政策、特に原発の行方を決定付ける選挙になる可能性がある。
 安倍政権は2014年に見直したエネルギー基本計画で、「原発依存度を可能な限り低減する」としながら、原子力は「重要なベースロード電源」と位置付けた。
 翌15年には30年度の電源構成比率を決め、原発は現在の数%から「20~22%」にするとした。
 基本計画はおおむね3年ごとに策定される。経済産業省は次期計画の策定作業に入っているが、世耕経産相は骨格を変えない方針だ。
 20%以上の電源構成比率を実現するには、全国で停止している原発を再稼働するだけでは足りない。原則40年の運転期間期限を迎えた原発を延命して使うか、新たに建設する必要がある。
 既に老朽原発3基が20年間の延長審査に合格している。原発事故を教訓に設けられた期間制限を形骸化させるものだ。原発依存の「低減」に逆行すると言わざるを得ない。
 主要な野党は、解散後に発足した二つの新党を含め、原発ゼロの方向でほぼ一致している。自民党との対決姿勢を強めており、衆院選の大きな争点になりそうだ。
 脱原発の実現は、原発事故の惨劇を体験した多くの国民の切なる願いと言ってよい。
 各党の政策はそれにどれだけ応えられるのか。国民は厳しく見極め、選択する必要がある。選挙戦で、各党は分かりやすく、丁寧に説明してほしい。
 問われているのは原発の行方だけではない。地球温暖化の防止、低炭素社会の実現を目指し、国際社会のエネルギー政策は大きく変わろうとしている。
 15年には、今世紀後半に実質的に温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目標にパリ協定が結ばれた。多くの先進国が、温室効果ガスの排出量が多い化石燃料からの脱却や、再生可能エネルギーの拡大を目指している。
 日本は本来、その先頭に立つべき国だ。現政権の方針は、30年度の電源構成で石炭火力を26%とし、再生可能エネルギーは「22~24%」にとどめている。
 しかも原発や石炭火力の輸出に熱心だ。「米国第一」ならぬ「日本第一」になっていないか。
 政党の姿勢はもちろん、有権者の意識も問われる。
カテゴリー: 社説


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