2017.10.15 08:00

【2017衆院選 森友、加計問題】安倍政治は信頼できるか

 安倍首相が衆院解散・総選挙に踏み切る理由に挙げたのは、「消費税増税分の使途見直し」と「北朝鮮対応」だった。「国難突破」という大仰な大義よりも、多くの国民の胸にくすぶっているのはこちらだろう。
 「森友、加計学園問題の疑惑隠しではないのか」
 森友学園は小学校建設用地として、国有地を評価額の1割余りの価格で購入した。その過程で当時の理事長は、小学校の名誉校長に一時就任していた安倍昭恵首相夫人に相談。夫人付の政府職員が財務省の担当者に問い合わせる、といった事実もあった。
 加計学園の理事長は首相の「腹心の友」。獣医学部新設計画が「加計ありき」で進められた、との疑惑が噴出した。
 安倍首相に近い人のために、官僚らの忖度(そんたく)や働き掛けがあったのではないか。公平・公正であるべき行政がゆがめられたのではないか。国民が抱いたこうした疑問は、民主主義や法治国家の根幹にかかわる重大な問題である。
 森友問題では国が国有地値引きの根拠とするごみの埋設について、実際にどの程度の量が埋まっているのかさえ、いまだに判然としない。
 加計問題でも肝心の獣医師の需要動向が明らかとなっていない。当時の山本地方創生担当相は、「需要の量や数を示すなんて無理」と開き直ったように答弁している。官邸側は疑惑を一貫して否定するが、客観的に事実を証明できる説明がなければ国民の理解は得られまい。
 両学園の疑惑では、記録の保存や開示に関する国の不十分な姿勢も浮き彫りになった。
 焦点となったのは国有地の値引き交渉に関する財務省内の文書や、「総理の意向」などと書かれた文部科学省の内部メモなど。政府や官僚側は「怪文書」「探したが見つからなかった」「廃棄した」といった答弁を繰り返した。当初、不存在としていた文書の存在を、後になって認めたケースもあった。
 日本の官僚機構はこれほどいいかげんで、頼りないものなのか。
 安倍首相は「李下(りか)に冠を正さず」の言葉を用いて「国民の疑念はもっともだ」と自戒し、今後も「真摯(しんし)に説明責任を果たす」と述べていた。しかし、突然の衆院解散によってそれは実践されていない。
 首相はこれまでも安全保障関連法など重要法案の採決を強行した後、「国民の理解は深まっていない」と反省し、説明を尽くす姿勢を表明してきた。こうした手法は許されるものなのか。
 国民が抱く疑念や不信に正面から向き合わず、「批判は当たらない」と一蹴したり「水掛け論」で幕引きしたりする。森友、加計問題で批判されているのは、そんな政治のありようそのものだ。国民が信じるに足る政治であるか否か。まさに安倍政治の信頼性が問われている。
カテゴリー: 社説


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