2016.04.04 10:56

小社会 土佐藩の幕末の国学者、鹿持雅澄、号は古義軒。高知市...

 土佐藩の幕末の国学者、鹿持雅澄(かもちまさずみ)、号は古義軒(こぎけん)。高知市福井の小高い丘の上に墓と邸宅跡がある。〈古義軒の墓まで梅の小径(こみち)かな〉楠瀬薑村(きょうそん)。今はむろん梅の時季は過ぎて、先日訪ねると記念碑のそばの桜が満開になっていた。

 きのうあたりからの雨が、せっかく咲きそろってきた土佐路の桜を無情にも散らしはしないか。気をもむ半面、今時分の雨には万物の成長を促す大切な役目もあるだろう。ぬれたとしても花の香りをこの身に移すぐらいの、柔らかな「桜雨」と願いたいところ。

 万葉集の注釈に心血を注ぎ、50年の歳月を費やして「万葉集古義」を著した雅澄。武市半平太ら多くの門人も育てた。墓碑に刻まれた遺詠は〈あれゆのち うまれむひとは ふることの あがはりみちに くさなおほしそ〉。

 私の後に生まれてくる人は私が切り開いた古代研究の道に、どうか草を生やさないでおくれ。自らの仕事への自負と後進への期待がうかがえよう。先人の業績を若い人が受け継いで、さらに発展させる。接ぎ木のようにそれがうまくいってこそ、世の中は前へ進んでいく。

 4日は二十四節気の一つの「清明」。あらゆるものが清らかで生き生きしてくる時候だ。職場にすがすがしい風を運んでくれるフレッシュマンたちも、きょうからが本格始動。

 これはと思う先輩を早く見つけてその背中から学ぶ。「あがはりみち」に分け入るのに、そんな行き方もある。
カテゴリー: 小社会コラム


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