2017.10.08 08:00

【2017衆院選 各党の公約】丁寧に具体的説明尽くせ

 虚を突くような、安倍首相の衆院解散表明から2週間。10日の公示に駆け込むように、主要政党が選挙公約を取りまとめた。
 「自民党・公明党」に「希望の党・日本維新の会」「立憲民主党・共産党・社民党」の野党勢が挑む、3極対決の構図が固まる中、憲法改正や消費税増税などが政策的な論戦テーマになりそうだ。
 急展開した野党再編のドタバタ劇も相まって、その中身は「熟議なき急造」を色濃くする。有権者は限られた期間内にどこまで吟味でき、判断材料にできるというのか。国民審判の根幹を揺るがしかねない危惧さえ覚える。
 自民党は重要公約に初めて改憲を打ち出し、4項目を記した。そのうち「自衛隊の明記」などは安倍首相が5月に突然表明し、党内の議論も途上で、異論もある。「9条」の文言の記載を避けるなど、あまりに乱暴だ。公明党は9条改正には慎重姿勢を取る。
 希望の党、日本維新の会とも9条も視野に改憲へ意欲を示し、安全保障法制も容認する。「安保法制前提の9条改悪に反対」とする立憲民主党も他の議論は否定しない。改憲派の与野党への広がりは選挙後の現実的議論の加速を予測させる。
 消費税では、税率10%への増税分を本来の借金返済から教育無償化などへ回す使途変更で「信を問う」とする与党に対し、野党は凍結や中止を訴える。原発政策でも野党はそろって「原発ゼロ」を掲げ、自民党との対抗軸に立てた。
 だが、増税の使途変更や凍結に伴う新たな財源の手当てなど、財政健全化への確たる道筋は示されていない。原発の安全性をどう確立するのか、あるいは、脱原発に向けたエネルギー転換の実現性も十分に読み取れない。
 選挙公約は、その信用性が揺らいできている。
 民進党は昨年参院選で、民主党時代の金看板だった「マニフェスト」の名称をやめた。政権交代を果たした2009年衆院選の公約が財源の壁で頓挫し、失望を招いた。安倍自民党は公約には明瞭に書き込まず、末席に置いていた安保法制や共謀罪法案を選挙後に次々繰り出し、成立を強行した。
 安倍首相は今回、北朝鮮の脅威を「国難」と称し、「圧力」強化を公約の1番手に据えた。だが北朝鮮対策の重要性は野党も共通認識で、際立った論戦にはなりにくい。北朝鮮危機を大義にした安保法制の拡大が選挙後の本丸ではないか―。そんな想像を巡らす必要もあろう。
 にわか仕立てで、聞き慣れない公約が並ぶ。新党の実体もまだ不明瞭だ。各党は丁寧に、より具体的に説明を尽くさなければならない。有権者の側には困惑もあろうが、ここでは主権者としての自覚に立ちたい。有効な政策か、信頼できる政党か。目を凝らし、耳を澄まそう。

カテゴリー: 社説


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