2017.10.06 08:00

【2017衆院選 外交・安全保障】圧力一辺倒の次の戦略は

 日本の安全保障にとって今、最大の脅威は―。多くの人が、核・ミサイル開発を続け、6回目の核実験の強行など挑発行為を繰り返す北朝鮮を挙げるだろう。
 安倍首相はその脅威を「国難」と位置付け、北朝鮮に対する圧力を強化する姿勢を鮮明にしている。衆院解散方針を表明した際には、選挙を通じて圧力路線に「信任を得たい」とも述べた。
 国連安保理決議に基づき対北朝鮮制裁が強化されたが、首相の圧力路線はむろんそれにとどまらない。トランプ大統領が軍事行動を含む「あらゆる選択肢」を視野に入れていると繰り返す米国と、一体となって対処していく方針だ。
 安保法制を最大限に活用し、自衛隊と米軍の一体的な運用で防衛協力を強化することによって、抑止力を高める狙いがある。米艦防護や米イージス艦への洋上給油など安保法に基づく新任務の実績づくりも進んでいる。
 安倍政権が憲法解釈の変更によって集団的自衛権行使を容認し、強行成立させた安保法制は、いまも「違憲」との声が根強くある。首相が北朝鮮への対応を取り上げ、信任を得たいとした姿勢には、違憲論を打ち消す狙いもみてとれる。
 軍事的な圧力の強化に対し、北朝鮮が挑発行為をやめる気配はない。口頭によるトップ批判など米朝の挑発合戦は続き、いや応なく緊張が高まっている。偶発的な軍事衝突が起きる恐れもゼロとはいえまい。
 軍事的な解決を避けなければならない以上、あくまで対話による解決しかない。安倍首相は「必要なのは対話ではない」とするが、圧力一辺倒の次についてどのような戦略を描いているのか。
 北朝鮮を対話の場に引き出すのは容易ではないが、関係国が粘り強く説得していくしかない。そのためにも日本と周辺国との関係がより重要になる。日米関係は緊密だが、韓国や中国、ロシアとは心もとない。
 韓国とは対北朝鮮では連携しているとはいえ、歴史問題などの火種はくすぶり続ける。安倍首相がプーチン大統領との信頼関係を自負するロシアは、対米戦略もあって一筋縄ではいかない。
 中国は安保理の制裁決議に沿った措置を履行するなど、歴史的に密接だった北朝鮮との関係を見直し始めている。今後の外交方針などは、18日に始まる共産党大会を経て、よりはっきりするだろう。
 日中関係は一時期よりは改善されたとはいえ、尖閣や南シナ海の問題などが横たわる。日米の軍事的な一体化に中国が神経をとがらせていることも確かだ。
 北朝鮮の脅威もあって、外交・安保問題に対する国民の関心は高まっているようだ。「国難」にあおられすぎることなく、北朝鮮対応や近隣外交について冷静に、そしてしっかりと考える機会にしたい。

カテゴリー: 社説


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