2017.10.04 08:20

重力波にノーベル物理学賞 高知県出身者も参加「これからがスタート」

川村静児さん
川村静児さん

山本博章さん
山本博章さん

三代木伸二さん
三代木伸二さん
 スウェーデンの王立科学アカデミーは3日、2017年のノーベル物理学賞を、二つのブラックホールが合体して放出された「重力波」を世界で初めて観測した重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」のチームを率いる米国の3氏に授与すると発表した。観測から2年のスピード受賞となった。

 3氏は、マサチューセッツ工科大のレイナー・ワイス名誉教授(85)、カリフォルニア工科大のキップ・ソーン名誉教授(77)とバリー・バリッシュ名誉教授(81)。

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 米国の「LIGO」チームには「アインシュタインの最後の宿題」と呼ばれた重力波をつかもうと、高知県出身の研究者たちも複数関わってきた。

 LIGOチームは1992年にマサチューセッツ工科大とカリフォルニア工科大を中心に設立。今は世界中から約千人の研究者が参加している。

 東京大学宇宙線研究所教授の川村静児さん(59)=高知市出身=は「(初観測が)人類史に残る貴重な一歩だと認めてもらえた」と喜ぶ。川村さんはチーム設立前からカリフォルニア工科大で検出装置の開発に携わり、世界最高感度を出した実績からチームに雇われた。92年にチームが初めて出した論文の発表者14人に名を連ねる川村さんは、検出装置の建設リーダーを務め、97年までチームに所属。その後も受賞者らと親交を深め、情報交換を続けている。

 現在は宇宙線研が岐阜県で建設する重力波望遠鏡「かぐら」の開発を担う。「日本も参加すれば世界4カ所で検出が可能になる。私たちも検出の感動を早く味わいたい」と期待を膨らませる。

 また同大チーム上級研究員、山本博章さん(65)=吾川郡いの町出身、カリフォルニア在住=は発表の瞬間を自宅のネット中継で見ていた。本紙の電話取材に「昨年も『受賞は間違いない』と言われていて逃したからほっとして…次の瞬間、やったぞーとなった」。94年にチーム入り。検出装置の設計シミュレーションなどを担当し、バリー・バリッシュ名誉教授ら受賞者と長年親交がある。LIGOの設備は来秋、感度を上げて稼働する。山本さんの仕事も増えそうで「これからもっと面白くなる。宇宙のことが分かる。楽しみです」と笑った。

 また90年代半ばに同大チームに所属した宇宙線研准教授の三代木伸二さん(49)は高知市で生まれ、4歳まで育った。高知関係者が複数携わっていることに「当初は『検出不可能。あてのない研究』と言われていた。後先考えないタイプが多いのかな」と笑い、「でも重力波はやはりあった。これからがスタートです」と語った。


重力波観測の意義を語る東大の研究者ら。左端の司会が須藤靖さん(3日午後、東京大学)
重力波観測の意義を語る東大の研究者ら。左端の司会が須藤靖さん(3日午後、東京大学)
極限の技術で感動 東大で研究者ら会見

 東京大学は3日、ノーベル物理学賞の発表を受け、LIGOチームのメンバーである同大研究者らの会見を開いた。

 同メンバーは、同大ビッグバン宇宙国際研究センターに所属するキップ・カンノン同大准教授。重力波検出のソフトウエア開発に貢献してきた。同日夕はセンターの一室で、2年前に同賞を受賞した同大宇宙線研究所長の梶田隆章さんや、同センター長の須藤靖さん(安芸市出身)たちとプロジェクターの中継映像を見守った。受賞が決まると、「おおー」「良かった」と声を掛け合い、拍手で祝った。

 会見でキップ准教授は「2005年にチームに入ってから長い間努力を続けてきた。大変喜ばしい」と笑顔。梶田さんは「今回の観測は既に新たな謎を呼んでいる。観測されたブラックホールが考えられていたものより少し重すぎる」と解説し、日本の重力波望遠鏡「かぐら」の役割に期待を寄せた。

 須藤さんは「こんなものを見つけられるのかという極限の技術で本当に感動。これからまだまだやることがあると分かった」と話していた。

カテゴリー: 環境・科学


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