2017.10.03 08:00

【公文書管理】見直し案に疑問拭えず

 政府が先月、公文書管理のガイドラインの見直し案を示した。陸上自衛隊の日報や森友・加計(かけ)学園の問題で、公文書のずさんな管理が浮き彫りになったからだ。
 国民の批判をどれだけ真摯(しんし)に受け止め、改善を図るのか。見直しには政府の姿勢が問われている。
 見直し案は、政策立案や事業実施に影響する府省庁内や外部との打ち合わせ記録は「行政文書」とした。情報公開の対象に明確に位置付けられたことは進展であろう。
 問題は、同時に盛り込んだ、その条件ともいえる内容だ。府省庁間の協議などは可能な限り相手方に発言を確認することとした。
 これでは、残す文書の内容を前もって省庁間ですり合わせることにならないか。
 加計学園問題では、文部科学省の文書に内閣府幹部の発言として「総理のご意向」などと記した文書の存在が明らかになった。内閣府側は内容を否定したが、政策決定に官邸が強く関与した恐れがある。
 発言内容をすり合わせることになれば、こうした疑念もかき消されることになる。
 公文書は国民の財産であり、「知る権利」を保障するためにも欠かせない資料だ。政府の恣意(しい)的な改変を許す制度にしてはならない。政府の公文書管理委員会や国会などで熟議を求める。
 見直し案は、保存期間が「1年未満」でよい文書の範囲を限定したことも特長だ。日常的・定期的な業務連絡や日程表▽別途1年以上の保存期間で原本が管理されている文書―などと例示した。
 行政文書は共有フォルダーへ、私的文書は個人フォルダーへの保存を徹底することも盛り込んだ。
 これらも中途半端な運用にならない仕組みづくりが必要だろう。業務に関する文書はメモやメールであっても本来は行政文書だ。
 文科省は加計学園問題で、当初は「文書として存在しない」と説明していた記録文書を約1カ月後に公表した。その際、「通常公表しない個人メモだった」と釈明したが、内容は明らかに行政文書だ。
 公文書管理法は、公文書を主権者である国民が利用することを前提にしており、目的は国や独立行政法人が「諸活動を現在および将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」ことと定めている。
 この趣旨に照らしても、行政文書か、個人文書かのふるい分けには明確な基準があるべきだ。
 公文書管理の適正化は地方自治体でも検討が進んでいる。高知県も、2019年度をめどに条例を制定する方針だ。国の公文書管理は地方の手本にもならなければなるまい。
 政府は年内にもガイドラインを改正したい考えだが、現状では疑問が拭えない内容だ。政府案とは別に、公文書管理委員会も独自に見直し論議を進めている。国会でも議論を深め、国民が納得のいく制度にしていかなければならない。
カテゴリー: 社説


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