2016.04.02 15:59

高知3大学の大学生が地域活動のガイド本作成

高知新聞社はこのほど、高知大学、高知県立大学、高知工科大学の学生有志10人と、「地域が元気になるガイドブック」を作成しました。A4判16ページで3千部印刷。3大学の関係学部や学生団体などを通じて、新入生、在学生らに順次配布する予定です。学生有志との協働で高知新聞社がこのほど作成した「地域が元気になるガイドブック」
学生有志との協働で高知新聞社がこのほど作成した「地域が元気になるガイドブック」


 ガイドブックのテーマは「大学生が地域で活動する意味」。高知県内のさまざまな地域で活動している人や、これから地域活動を始めようと思っている皆さんが、自分なりに目的を見つけることができるようにとの思いから作りました。

 それぞれが“大学生記者”として取材や調査を重ね、多角的な視点で活動の本質に迫ったガイドブックの概要を、10人の学生有志の感想とともに紹介します。 
大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材
大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材

 ガイドブックの主なコンテンツは高知新聞の「地域de協働」で取り上げられた地域活動の追跡取材。学生スタッフはそれぞれ、最も関心を持った、自身の大学の活動を一つだけピックアップし、地域が学生に求める役割や注文など、“地域の本音”を引き出しました。

 高知大学は長岡郡大豊町怒田地区、高知県立大学は高岡郡佐川町尾川地区、高知工科大学は高知空港ビル(南国市)内の「空飛ブ八百屋」の事例を取り上げ、大学生記者が関係者に思いを聞きました。

 また各ページで、高知新聞のマスコットキャラクター「にゅーすけ」が、取材の仕方や記事をまとめるこつをアドバイスしたり、高知新聞支局記者のメッセージなどを紹介。大学での調査研究活動やリポート作成などに役立つ新聞記者のノウハウを伝授しています。

■「幸せのかたち」大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材
大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材


 高知大学は、高知県にIターンして就農した田畑勇太さん、恵莉さん夫妻=大豊町怒田在住=を取材。地域活動の先輩でもある2人に、学生時代の思いや、地域に根差した生き方などについて尋ねました。

 取材した大学生記者は就職活動に直面し、人生の岐路に立つ身。定まらない進路などの悩みを打ち明けながら田畑さんから引き出したのは、大学での地域活動や就活時などで考え続けていた「幸せのかたち」と、そのつくり方でした。

 〈頭に浮かんだのは、地域活動で体験したことだけでなく、小さいころからのいろいろな出来事や聞いた言葉。それらのかけらを固めて見えたのが、農業だった。〉

 その話を聞いた大学生記者は、自身の悩みの正体が見え、人生で体験してきたことの意味が分かったそう。今は就活にも前向きに取り組んでいます。

 また、これから本格的に活動入りする地域協働学部の1期生にもインタビュー。志望動機や、今後の活動で学びたいものなどを聞きました。大学で地域活動をしようと思っている高校生にも参考になりそうです。

■学生、地域の役割

 「いずれいなくなる学生が活性化に関わろうというのは、無責任な気がするんです。学生と共に歩むのは、地域にとって良いことなんでしょうか」

 高知県立大学の大学生記者は、佐川町尾川地区で学生を受け入れる地区活性化協議会の会長、沢村重隆さんに、日ごろ抱いていた疑問を率直にぶつけました。

 沢村さんは言いました。「わしらは、わしらができることをやる。学生さんには、わしらにないアイデアを出してほしい」。学生と役割を分担し、地域も自らの役割を担う。地域の自覚と意欲を聞いた大学生記者は、抱いていた疑問が氷解したそうです。

 また、地区での活動で主軸を担う学生にもインタビュー。「学生は地域の『潤滑油』」という実感あふれる言葉を中心に、記事をまとめました。大学生記者による二つの記事は、地域活動での学生の役割、地域の役割を、見事にあぶり出してくれています。

■実践する意味
大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材
大学生記者が地域で活動するさまざまな人に取材

 高知工科大学の大学生記者が空飛ブ八百屋に着目したのは、田畑や集落で活動するだけでなく、地域と顧客をつなぐ取り組みもまた地域のための活動であり、大学で学ぶマネジメントやマーケティングも生かされていると感じたからです。

 活動する学生、出品農家、運営主体の高知空港ビルなど、多くの関係者に取材した大学生記者。「しがらみのない学生が、いろいろな人のつなぎ役に」「SNSなど、学生ならではの情報発信を」など、学生への期待をたっぷり拾い集めました。

 その中で、記事の中心に据えたのは地域プランナーで高知工科大学特任教授の松崎了三さんらの言葉。「講義で理論を積み重ねていても、実際にお客さんの前に立って初めて分かることがある」。座学で学んだことを実践できる場が、より深い学びをもたらし、一層成長させる―。他大学を含めた多くの地域活動に通じる「現場で実践する意味」が、その言葉に凝縮されているようでした。

学生150人にアンケート 活動への思いを深掘り調査 

 ガイドブックでは、大学生記者が手分けして3大学の学生150人に実施したアンケート結果を紹介するページも掲載しています。

 地域活動経験者を主な対象としたアンケートでは、「あなたが地域で活動する目的は」と質問。最多回答は「自身の成長のため」(42・4%)で、以下「地域をより良く」(29・9%)、「進路のため」(11・7%)、「就活のため」(9・5%)と続きました。

 アンケートの記述の中で、熱い思いをにじませた各大学2人の計6人には、大学生記者があらためてインタビュー。どういった思いで地域活動に当たり、どんなことを目指しているのかを“深掘り取材”してまとめています。

 6人はそれぞれ学生団体で長く活動するメンバー。「長く関わることが大切」「学生同士が目標設定を共有し意思統一する」「地域の不満や不安も聞き入れ、同じペースで歩くのが本来の姿」など、経験を踏まえた活動のヒントを多く語ってくれています。

 このほかアンケートの設問として、地域活動を始めたきっかけ、新聞から得た情報の活用についての調査結果も紹介。「地域活動を行う上で、高知新聞は有益な媒体ですか」には91・2%が「はい」と回答し、高知県内の情報をつぶさに伝える高知新聞が役立っていることが示されていました。

■私たちが作りました■

浅島有紀さん(高知大学) 
 大変だったのは、新聞社の人の即決するスピード。自分の理解が追い付かず、悔しさもありました。でも「原稿が分かりやすかった」と言ってもらえ、うれしかったです。

池内悠人さん(高知大学)
 取材相手は何度も会って話している人でしたが、取材として行くと、あらためて聞くのが恥ずかしい話も聞くことができました。いい経験ができ、これからも生かしたいです。

島野真帆さん(高知県立大学)
 これから地域に出て行きたい人、また現在地域に出ている人に、私たち学生のリアルな姿を届けられるのではないかと思います。この本が皆さんの手に渡るのが楽しみです。

福元大地さん(高知県立大学)
 最近、街で配られるパンフレット類も真剣に読んでます。僕らのように頑張って作ったんだよなって。取材を経て、人の話をじっくり聞く習慣が付き、やって良かったです。

古賀俊規さん(高知工科大学)
 取材では用意した質問しか聞けず、記者の大変さが身にしみました。サークルでのフリーペーパー作りでは、今回教わった記事のまとめ方などを存分に駆使して発行したいです。

鈴田和基さん(高知工科大学)
 取材、執筆を経験をして、どんな小さい記事でも記者の人が必死に取材し、多くの人の手でまとめられていると実感しました。苦労も多いけど、やりがいがある仕事ですね。

山本祐大さん(高知工科大学)
 取材ではどんどん面白い話が出て、メモを書ききれず反省です。でも、人と触れ合って話を聞くことで自分の中で多くの気付きが生まれました。すごく楽しくて有意義でした。

都築奈々さん(高知工科大学)
 自分と同年代の人たちが社会、地域と深く関わっているんだって驚きました。すごく刺激になりました。自分も残り少ない大学生活の中で、有意義な時間を過ごしたいです。

岡崎紫保さん(高知工科大学)
 学生がどう地域に関わり、どんな影響が生まれるかを数多く聞いて、人と人との関わり合いの中で生まれるものがたくさんあるんだって実感しました。とても共感できました。

岩崎菜那さん(高知工科大学)
 編集会議は全部参加(笑)。いつも「時間がない」って思ってたけど、時間は自分が思っている以上にあるって分かりました。大学生活、もっといろいろやれば良かったなあ。

カテゴリー: 大学生のNIE大学特集NIE教育


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