2017.09.30 08:00

【野党の再編】国民の理解得られてこそ

 10月10日に公示される衆院選の構図が様変わりした。
 小池東京都知事が率いる新党「希望の党」が誕生し、さらに野党第1党の民進党が合流することを決めたからだ。形の上では安倍首相と小池氏が対決することになったといってよい。
 7月の都議選で自民党に圧勝した小池氏はその勢いを背景に希望の党を立ち上げた。「寛容な改革保守政党を目指す」「しがらみ政治からの脱却」などの綱領とともに、「原発ゼロ」「消費税増税の凍結」なども打ち出している。
 安倍政権への対立軸としては分かりやすい面もあるが、まだ曖昧な内容にとどまっている。公示までの時間は短いものの、具体的な政策に練り上げていく必要がある。
 政権選択選挙の色合いが濃くなったとはいえ、小池氏は衆院選への出馬を否定している。課題が山積する都政を途中で放り出せば厳しい批判は避けられないが、一方で、政権奪取を目指す党首と知事の両立はできるのかとの疑問は拭えない。
 民進党は前原新代表の下で再スタートを切ったが、離党者が相次ぐなど解党寸前の危機的な状況が続いている。前原氏は「どんな手段を使ってでも安倍政権を止めないといけない」として、希望の党に合流する道を選んだ。
 確かに、野党勢力がバラバラのままでは安倍自民党を脅かすのは難しい。自らの党勢回復が期待できない中、野党結集の一つの方策として勢いのある希望の党に託した選択を否定はしない。
 ただし、小池氏は民進党出身者の公認について、選別する考えを明確にしている。その発言からは、憲法観や安全保障政策が重要な基準になるとみられる。
 民進党は旧民主党時代から指摘されてきたように、保守派からリベラル系、左派までの「寄り合い所帯」だ。その中で、党として「安倍政権下での改憲反対」「安保法制反対」を掲げてきた。
 それに賛同して、民進党を支持してきた国民は多いだろう。希望の党の公認を得るため、前議員らが政治姿勢の転換を迫られたり、拒めば合流を断られたりする可能性は大いにある。基本姿勢を根本から変えるのであれば、国民への説明責任は逃れられない。
 民進党の事実上の解党に伴い、これまで進めてきた共産党などとの候補者調整はご破算となるだろう。既に合意に達していた選挙区もある。期待していた有権者が政治への不信感を強めかねない。
 強権的な安倍「1強」体制への対抗軸をつくるため、野党が再編へと動くことは理解できる。ただし、国民の理解がないと、期待したような成果にはつながらないだろう。小池氏はむろん、前原氏も説明を尽くす責任がある。
 有権者も10月22日の投票まで時間をかけて、理念や政策などをしっかりと見極めたい。
カテゴリー: 社説


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