2017.09.28 08:00

【参院1票の格差】合区評価の合憲は疑問だ

 昨年7月に行われた参院選の「1票の格差」最大3・08倍について、最高裁がきのう、格差を「合憲」とし、選挙無効の請求を退ける判断を示した。
 徳島・高知、鳥取・島根で合区を導入するなど「10増10減」の是正を図り、格差が縮まったことを高く評価した格好だ。
 参院選は20年近くにわたって5倍前後の格差が常態化してきた。最高裁は2010年と13年の選挙で、いずれも「違憲」一歩手前の「違憲状態」と判断し、国会に格差是正を強く迫っていた。
 数字が改善したのは確かだ。国会の対応の成果であろう。だが、合区には問題を指摘せざるを得ない。
 昨年の選挙では、徳島・高知選挙区は自民党候補も野党共闘候補も徳島を地盤としていたため、高知県内では投票率が過去最低となり、候補者も県内を回りきれなかった。
 最高裁がそれらを十分に検証することなく、合憲の判断材料としたことは疑問が残る。
 一連の訴訟では、計16件の高裁・支部判決があり、「違憲状態」が10件、「合憲」6件と分かれ、最高裁の最終判断が注目されてきた。
 判決で最高裁大法廷は、合区を含む公選法改正が「大きな投票価値の不均衡が続いてきた状態から抜け出させ、さらなる格差是正を志向するものと評価できる」とした。 
 過去の判決では、都道府県単位の選挙制度は「投票価値の平等を図っていくことは著しく困難」とまで指摘し、見直しを求めていた。
 ところが今回は、「都道府県単位自体が不合理で許されないとしたものではない」とトーンを大幅に弱めている。合区への反発が強いことを考慮した可能性もある。
 それでも合区を評価していることに変わりはない。国会対応を積極的に評価したといっていいだろう。
 憲法上、国会議員は衆参両院ともに「全国民の代表」に位置付けられている。投票価値の平等が重要なことは言うまでもない。
 その意味では、3倍という格差も放置できるものではない。是正論議を続けていく必要がある。大法廷で違憲や無効の意見を示した裁判官がいたことも重い事実だ。
 3年ごとに議員定数の半分を入れ替えることや地方の人口減少を考えれば、いまの参院の選挙制度に限界があるのは明らかだ。合区を拡大しても早晩行き詰まる。
 自民党内には、憲法上の参院議員の位置付けを「都道府県の代表」に変えようという動きがある。格差や合区の問題は解消されるが、参院の性格も大きく変わりかねない。
 たびたび指摘してきたが、参院は存在意義が問われるようになって久しい。衆院と同じような選挙制度や政党主導の運営が続いている。
 改憲論議より前に、現在の参院の課題を検証し、二院制の役割や位置付けをしっかりと問い直すことだ。それなしに党利党略で選挙制度を見直しても事態は改善しまい。

カテゴリー: 社説


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