2016.04.01 14:01

小社会 県庁前のクスノキの並木が衣替えを始めている。春の…

 県庁前のクスノキの並木が衣替えを始めている。春の日差しに輝く萌黄(もえぎ)色の若葉が少しずつ増え、役目を終えた薄茶色の古い葉が次から次へと落ちてくる。毎年、変わらない光景だ。

 この地に植樹されたのは60年余り前。当時の本紙には長岡郡長岡村(現南国市)の坂折山から運ばれた樹齢約50年のクスノキとある。1世紀以上にわたり同じ営みを繰り返しながら、堂々とした姿になったわけだ。

 成長はゆっくりでも着実に大木になるクスノキになぞらえ、昔の人は進度が遅くても大成する勉強の仕方を「楠学問」と呼んだ。対をなすのは「梅の木学問」。成長は速いものの大木にならないためだが、寒さに耐えて花を咲かせ、春の訪れを告げる梅に申し訳ない気もする。

 きょうから新年度。新社会人や新入生をはじめ、多くの人が新たな歩みを始める。夢や希望に胸を膨らませる一方、大きな不安も抱きつつ一歩を踏み出すが、職場であれ、学校であれ、まずは学ぶことから始まる。

 「成果主義」という言葉が幅を利かせ、何事にも結果を早く出すことが求められる時代。企業では「即戦力」が期待され、学校では入試などに目が向く。じっくりと育てる「楠学問」よりも「梅の木学問」にとらわれがちだが、日本社会の将来を考えると果たしてどうなのか。

 つややかな若葉は大きな可能性を秘めていよう。どのように導いていくか、育てる側の力が試される。
カテゴリー: 小社会コラム


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