2016.03.31 10:13

小社会 徳川家康があるとき、「この世で一番うまいものは何か…

 徳川家康があるとき、「この世で一番うまいものは何か」と尋ねた。すると側室が「塩です。山海の料理も塩がなくては味がつけられません」。さらに「一番まずいのも塩です。どんなにおいしいものでも塩味が過ぎると食べられません」(「塩の話あれこれ」)。

 調味料としての塩を十分に語っているが、そもそも塩は人間の生存に欠かせない。権力を握る上でも重要な意味があり、中国では紀元前から専売制を敷いてきた。日本でも1997年までの90年余り、専売制度の下にあった。

 その流れをくむ公益財団法人の塩事業センターがあすから、家庭用の「食卓塩」などを約24年ぶりに値上げする。スーパーやネット通販などではさまざまな塩が売られ、地域の名を冠した「ご当地もの」も少なくないが、製法などへのこだわり派は価格が高めだ。

 同センターは低廉で良質な塩の安定的な供給をうたう。原料となる輸入塩の価格上昇などやむを得ない面はある。とはいえ、約35%もの大幅な値上げに、赤いキャップの瓶を見ながらため息を漏らしている人がいるかもしれない。

 ものは考えようだ。日本人の塩の摂取量は年々減っているものの、厚生労働省の目安をまだ上回っている。わが身の健康のため、値上げを機に塩の使用を少し控えてはどうだろう。

 サラリー(給料)の語源となったラテン語は「塩の」の意味。値上げラッシュの春は何ともしょっぱい。
カテゴリー: 小社会コラム


ページトップへ