2016.03.30 11:13

高知県立大学の学生が香美市物部町で方言を集め冊子配布

物部町庄谷相、拓地区の方言や生活、文化などを語る小松允子さん(右)ら(香美市物部町庄谷相)
物部町庄谷相、拓地区の方言や生活、文化などを語る小松允子さん(右)ら(香美市物部町庄谷相)
 高知県立大学の文化学部の学生がこのほど、高知県香美市物部町の庄谷相(しょうだにあい)地区、拓(つぶせ)地区の両地区で方言の聞き取り調査を行った。かつての地域の営みを再発見し、活性化につなげる取り組みで、物部町に伝わる民間信仰「いざなぎ流」や、昔から盛んだった林業など、土地の生活に根付いた約2500語が集まった。

調査結果をまとめる高知県立大生(高知市永国寺町)
調査結果をまとめる高知県立大生(高知市永国寺町)
 地域の言語や文化などを研究する橋尾直和教授と学生4人がプロジェクトチーム「to THE NEXT」(トゥー・ザ・ネクスト)を組織し、大正~昭和期に実際に話されていた方言を、2015年11月下旬~2016年1月中旬にかけて調査した。

 物部町の庄谷相地区に住む小松允子さん(84)に用例や体験を語ってもらい、地域の歴史に詳しい住民の解説も得ながら「言葉の背景にある文化や風俗、生活に注目する」と橋尾教授。方言を手掛かりに地域の魅力を掘り起こし、活用を図る狙いだ。

 庄谷相地区ならではの方言の一つに「たたり」を意味する「ワザ」がある。体調が悪い時などに「太夫に見てもろうたら、ワザがあったけんど治ったぜよ(太夫に見てもらったら、たたりがあったけど治ったよ)」といった使い方をしたという。

 「太夫」はいざなぎ流で、人に取りついた魔物をはらう儀式や祭儀を執り行う人物。体の不調や不吉な出来事を「たたり」と捉え、鎮めるために太夫を頼るなど、いざなぎ流信仰が暮らしに根付いていたことがうかがえる。

 また「子孫のために植林などを残す」という意味の「シオキ」、原木の伐採やそれに従事する人を指す「サキヤマ」など、林業に関する言葉も多い。

 2年生の小川了さん(20)は、こうした昔からの風習に基づく言葉を「地域の皆さんにあらためて振り返ってほしい」と話す。

 香美市物部町の庄谷相地区、拓地区には物部町と香南市赤岡町を結ぶかつての交易路「塩の道」が通り、住民有志が整備や観光利用に取り組んでいる。小川さんは「復元された『暮らし』と『言葉』を活用できれば、塩の道などの観光ルートの充実や地域の伝統のPRにつながると思います」と期待を込める。

 調査には香美市が2015年度から始めた、地域活性化に取り組む学生団体への助成金を活用した。結果は冊子にし、協力者や図書館などに近く配布する。

関連記事

もっと見る

カテゴリー: 教育大学特集香長教育


ページトップへ