2017.08.06 08:05

小社会 夕方になると、海から吹きこんでくる風がぴたりと…

 夕方になると、海から吹きこんでくる風がぴたりとやむ時間帯がある。夕凪(ゆうなぎ)。以前、盛夏に広島を訪れた際、これに出くわした。蒸れるような、息が詰まるような暑さに汗が噴き出し、口を利くのもおっくうになったのを覚えている。

 漫画家、こうの史代さんの名作「夕凪の街」は、原爆投下から10年後の広島が舞台。主人公の女性は爆心地付近の、粗末な家が並ぶ集落で暮らす。職場の同僚から求婚されるが、素直に受け入れることができない。

 あの日、助けを求める大勢の人々を見捨てた。死体をまたぎ、踏んづけて歩くことも平気になった。腐っていない死体を選んでげたを盗んだ…。生き延びてしまったという罪悪感と、いつ発病するか分からない原爆症への恐怖。彼女は絶えずそれに脅かされていた。

 楽しいこと、うれしいことがあるたびに、忌まわしい記憶がよみがえる。自分は幸せになってはいけないのではないか。被爆者にそんな考えがよぎるのが、風とともに時間まで止まってしまうような夕凪の時だったかもしれない。

 広島原爆の日が巡ってきた。今年、国連では核兵器禁止条約が採択された。重い口を開き、つらい記憶を語ってきた被爆者にも大きな励みとなろう。

 核保有国や日本が参加しておらず、実効性は疑問視されている。それでも廃絶へ向けて声を上げ続けたい。今は核軍縮は停滞していても、夕凪が終われば風はまた吹き始める。


8月6日のこよみ。
旧暦の6月15日に当たります。きのと うし 二黒 友引。
日の出は5時21分、日の入りは19時02分。
月の出は17時57分、月の入りは3時43分、月齢は13.7です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で4時35分、潮位177センチと、18時03分、潮位181センチです。
干潮は11時21分、潮位33センチと、23時35分、潮位93センチです。

8月7日のこよみ。
旧暦の6月16日に当たります。ひのえ とら 一白 先負。
日の出は5時22分、日の入りは19時01分。
月の出は18時40分、月の入りは4時36分、月齢は14.7です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時13分、潮位185センチと、18時32分、潮位186センチです。
干潮は11時54分、潮位27センチの一回です。
カテゴリー: 小社会コラム


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