2016.03.28 09:32

小社会 きょう3月28日は1979年、米スリーマイル島の原発で…

 きょう3月28日は1979年、米スリーマイル島の原発で、当時「史上最悪」といわれた事故が起きた日だ。その数日前、米国では映画「チャイナ・シンドローム」が公開されている。

 映画が結果的に大事故を予見したことになり、世界は騒然となった。核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」の危機も映画は描いた。5年前、福島の原発で実際に起きている。

 社内のマニュアルで基準があったにもかかわらず、東京電力は約2カ月間も「炉心損傷」という言葉で、事故の過酷さを隠してきた。理由はどうあろうと、人命にかかわる原子力事業を担う資格はないのではないか。原発の安全神話はとうに崩れたと思っていたが、しぶとさは相当なものだ。

 関西経済連合会の副会長が、先日の大津地裁による高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定に異を唱えた。「一地裁の一人の裁判長による判断」。仮処分申請は法改正で禁じるべきだとのたまう。

 三権分立の原則も国民の権利もご存じないらしい。でなければ無視である。スリーマイル島をはるかにしのぐ福島の事故を経て、原発をめぐる風景は古色蒼然(そうぜん)の昔に戻ったのか。司法の判断に一筋の望みを託す人々がいる。

 映画の原発事故では、一人の技術者が身を挺(てい)して不正を告発しようとするが、何者かによって命を奪われる。良心なき惰性的な妄信が、ときに人を不幸にする見本である。
カテゴリー: 小社会コラム


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