2016.02.01 10:40

高知県内の木質バイオマス発電が稼働1年 11万トン燃料に

発電所敷地内にストックされた木材。燃料利用が着実に進み出した(高知県宿毛市平田町戸内)
発電所敷地内にストックされた木材。燃料利用が着実に進み出した(高知県宿毛市平田町戸内)
 高知県宿毛市の木質バイオマス発電所が稼働1年を迎えた。続いて始動した高知市の木質発電所と合わせ、2015年中に約11万トンの木材を燃料に、一般家庭1万3千世帯分の使用量に相当する約5千万キロワット時の電力を生み出し、四国電力や東京の電力販売会社に売電した。低質木材の価格上昇にもつながっており、高知県内の森林資源を生かした新たな取り組みは着実に進んでいる。

 宿毛市平田町戸内に四国初の木質バイオマス発電所を整備したのは、高知工科大学の教員が主導した「グリーンエネルギー研究所」(GEラボ)。2015年1月、固定価格買い取り制度(FIT)に基づく売電を開始した。

 ■捨てる材が金に

 永野正朗・宿毛事業所長は、燃料材の確保について「林業事業体や製材会社への営業交渉は大変でしたが、調達量は右肩上がりで増えてきた」と話す。

 2015年1~3月の稼働率は約4割、4~12月は約7割まで上昇した。2015年度の累計は3300万キロワット時と「フル稼働(4500万キロワット時)の6割」とした目標を上回る見込みだ。

 幡多地域の林業、製材業者からは「根元の曲がった材や枝葉など、山に捨てよった分がいくらかのお金になりだした」「自社で焼却するしかなかった端材も発電用に回せるようになった」との声が上がる。

 永野所長は「2年目は8割稼働の計画だが、できるだけフル稼働に近づけたい」と意気込む一方、課題も挙げる。売電単価が高い「未利用材」(市町村などが認定する森林経営計画に基づいて間伐した材など)の確保だ。今のところ全体に占める割合は2割強と4割の目標には届いていないという。

 その未利用材だけを使っているのが、高知市仁井田にある「土佐グリーンパワー」(土佐GP=2015年4月から稼働)の発電所だ。土佐グリーンパワーは石油元売り大手の出光興産と高知県森林組合連合会、とさでん交通が設立した。フル稼働時の年間発電量は4千万キロワット時。2015年12月までの実績は約2300万キロワット時で、2015年度は約3千万キロワット時を見込む。

 目標の「9割稼働」に届かないのは、「2015年は梅雨も長く、6~7月は特に燃料調達が厳しかった」(西家基弘取締役)ことなどが要因という。

 ■買値 相場の倍も

 燃料は「C材」と呼ばれる低質材。曲がりや細さのため建築材や合板には適さず、製紙用チップなどが主な用途だった。

 材の調達に関して、2発電所は競合関係にもある。土佐GPへの供給を担う高知県森林組合連合会は「未利用材」のC材を、丸太1トン当たり7680円で買い入れる。

 GEラボは6千円で受け入れ。差があるようにも見えるが、ともに発電所への持ち込み価格のため、搬送費用を考えれば幡多地域の林業・製材業者にとっては同等の水準という。

 いずれにせよ、従前の相場と比べると1・5~2倍の値段で、林業者には歓迎されている。

 一方、C材に近い木材を加工する製材業者からは「値が上がって仕入れがしにくくなった」との声が上がる。

 製紙用チップを扱う丸和林業(高知市)は、発電所レベルまで仕入れ値を上げた。北岡幸一社長は「利益面は苦しい」と話すが、発電所へのチップ供給も始めており「供給先の選択肢が増えた点はメリット」と受け止める。

 今後、2発電所がフル稼働に向かう中、山側には一層の増産が不可欠になる。人手不足や生産性の向上など課題は多いが、GEラボの永野所長は「個人やグループの自伐林家と協力し、森林経営計画策定のお手伝いもしたい」。高知県森林組合連合会の相良康麿参事は「森林組合と連携して事業地確保を進める。『未利用材』などFITへの理解もあらためて深めたい」としている。

カテゴリー: 環境・科学幡多


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