2017.06.29 08:00

小社会 「それ、もう一度立たぬか、みんなのためにもう一度…

 「それ、もう一度立たぬか、みんなのためにもう一度立たねか」―。1933年2月、プロレタリア作家の小林多喜二が特高警察の拷問で死亡し、自宅に運ばれた。その時、母セキが息子の遺体を抱きながら上げた悲痛な声である。

 多喜二を死に追いやった治安維持法は1925年に公布。ときの加藤高明内閣は、この法律は無政府主義・共産主義を取り締まるものだ、との説明を繰り返した。だが、状況は一変する。
 
 3年後の田中義一内閣が同法を改正し、「国体変革」を目的とする結社をつくった者や、加入者への処罰を強化。最高刑を死刑とした。さらに結社の目的遂行のための行為をした者も罪に問えるようにした。公布、即日施行は1928年のきょう、6月29日のことだ。

 作家の半藤一利さんは、この法改正が治安維持法を「真に悪法たらしめた」とみる。さしたる証拠がなくても、官憲が「目的遂行のため」と判断すれば処罰の対象になる。

 実際、悪法の網は学者や宗教家、作家など広範囲に及んだ。1945年に廃止されるまで、数え切れないほどの逮捕者、拷問やでっち上げによる多数の獄死者を生んだ。法の運用は、ときの政権や当局の判断次第。安倍政権が強引に成立させた「共謀罪」法にあまりにも似ていないか。

 私たちの思想や言論の自由は、第2の暗黒時代の入り口に立っているのかもしれない。「それ、もう一度立たぬか」という慈母の声が胸に刺さる。


6月29日のこよみ。
旧暦の閏5月6日に当たります。ひのと ゐ 四緑 仏滅。
日の出は4時58分、日の入りは19時20分。
月の出は10時21分、月の入りは23時18分、月齢は5.0です。
潮は中潮で、干潮は高知港標準で3時36分、潮位90センチと、15時50分、潮位42センチです。
満潮は9時15分、潮位164センチと、22時30分、潮位169センチです。

6月30日のこよみ。
旧暦の閏5月7日に当たります。つちのえ ね 三碧 大安。
日の出は4時59分、日の入りは19時20分。
月の出は11時20分、月の入りは23時53分、月齢は6.0です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時33分、潮位90センチと、16時36分、潮位60センチです。
満潮は10時12分、潮位151センチと、23時15分、潮位163センチです。
カテゴリー: 小社会コラム


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