2017.06.23 08:00

小社会 高知市の高知新聞社近くに、「小さなアジサイ街道」…

 高知市の高知新聞社近くに、「小さなアジサイ街道」とひそかに名付けている小道がある。きのう見に行くと、青紫、淡紅など色とりどりの花がしずくを落としながら梅雨空に映えていた。ここ数日の雨で生気を取り戻したかのようだ。

 近代日本の美人画で名高い鏑木(かぶらき)清方(きよかた)は一時、自ら「紫陽花(あじさい)舎(のや)」の雅号を使うほどこの花を愛した。随筆集に「紫陽花は少し仄(ほの)暗い処(ところ)が一番ふさわしい」と書いている。漢字の「紫陽花」は、日本情緒を色濃く醸し出す。

 こう言ってはミもフタもなくなるが、この漢字の当て字は誤用だと、湯浅浩史著「植物ごよみ」が断じている。しかも命名のいきさつが文献に記録された、由来も明らかな誤用。それが10世紀も続いているという。

 紫陽花の命名者は、平安時代の学者で歌人の源順(みなもとのしたごう)。原典は中国・唐の詩人、白居易の詩から引いた。だがこの詩の紫陽花は「気は香(かんば)しく」とあり、香りのないアジサイとは明らかに違う。誤用の動かぬ証拠となったという次第。

 誤用に気付いたのは江戸後期の本草家たちだ。牧野富太郎博士も厳しく誤りを指摘したことは、以前の小欄でも紹介した。だが紫陽花はしっかり根付き、俳句の季語、小説、歌謡曲のタイトルなど、びくともせずに現在に至る。

 いまさら紫陽花を使うなといっても、やぼなことだろう。誤用でも受け入れる日本語の奥深さととらえたい。小雨に濡(ぬ)れる美しい花を見ながらそう考えた。


6月23日のこよみ。
旧暦の5月29日に当たります。かのと み 一白 先負。
日の出は4時57分、日の入りは19時20分。
月の出は4時03分、月の入りは18時14分、月齢は28.3です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で4時33分、潮位190センチと、18時00分、潮位190センチです。
干潮は11時16分、潮位1センチと、23時37分、潮位83センチです。

6月24日のこよみ。
旧暦の閏5月1日に当たります。みずのえ うま 九紫 大安。
日の出は4時57分、日の入りは19時20分。
月の出は5時01分、月の入りは19時19分、月齢は0.0です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時19分、潮位195センチと、18時49分、潮位195センチです。
干潮は12時04分、潮位-6センチです。

カテゴリー: 小社会コラム


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