2016.03.23 12:07

小社会 「首都ハバナ市内を走る乗用車のおんぼろぶりはす...

 「首都ハバナ市内を走る乗用車のおんぼろぶりはすさまじい。走っているのは革命前の1950年代に持ち込まれた米国車…」。ちょうど20年前の96年にキューバを訪れた同僚の記事の一節だ。

 59年の社会主義革命後、米政府は強力な経済制裁を実施し、米国製の新車は輸入できなくなった。後ろ盾だった旧ソ連が崩壊した後は、他の国から買おうにも慢性的な外貨不足でままならない。修理を重ねながら乗り続けるしかなかったわけだ。

 昨年7月の国交回復を受けて、オバマ米大統領が現職大統領としては88年ぶりに同国を訪れた。ニュース映像を見ていると、あまり変わっていないようだ。映画などでしかお目にかかれなくなった「アメ車」が元気に走り回っている。

 米自動車産業が光り輝いていた「古き良き時代」のアメ車は、ファンにとっては垂ぜんの的だろう。特に米国では愛好者が多いといわれる。今後、経済制裁が緩和されていけば、骨董(こっとう)品がお宝になる可能性もある。

 むろん、半世紀以上にわたる対立を解きほぐすのは簡単ではない。米国では野党共和党が国交回復そのものに対する批判を続け、大統領選の行方は今後を大きく左右するだろう。一方のキューバも一党独裁体制の転換につながりかねない民主化などを受け入れる気配はまるでない。

 道は険しくても、関係改善は一歩一歩進んでいくと期待したい。後戻りをしても益はないのだから。
カテゴリー: 小社会コラム


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