2016.03.20 10:33

小社会 北朝鮮が核実験を実施した後、金正日総書記が側近…

 北朝鮮が核実験を実施した後、金正日総書記が側近を集めて言った。「これでわが国は安全だ。ブッシュは大量破壊兵器のない国しか攻撃しない」。名越健郎著「ジョークで読む国際政治」に、こんな話が出てくる。

 作り話ながら2003年3月20日に始まったイラク戦争の後日談とすると、笑えないジョークでもある。当時のブッシュ米大統領は、開戦理由の一つにイラクが大量破壊兵器を保有していることを挙げた。戦争でフセイン政権は倒れたものの、大量破壊兵器は存在しなかった。

 ブッシュ前大統領が「悪の枢軸」と名指ししたのはイラク、イラン、北朝鮮の3カ国。その一角のイラクが容赦なく攻撃されたことに、北の独裁者が身構え、危機感を募らせたのは想像に難くない。問題はその影響だろう。

 北朝鮮が核兵器さえ保有すれば「これでわが国は安全だ」と考え、開発、実戦配備を推し進める。こうなるとイラク戦争の負の遺産は大きいが、総書記の子息、金正恩第1書記は、父親の核軍拡路線を継承。さらなる核実験の「早い時期の断行」にも言及した。

 〈2003年春 ぼくらの目は花をうつろに見て 世界を憂えている ぼくもそうしている〉。イラク開戦に作詞家の阿久悠さんはこんな詩を詠んだ。イラクは現在も混乱。その余波もあって隣国シリアの内戦は泥沼化している。

 それに加えての核信仰。13年前の開戦は、世界の憂いを増やした。
カテゴリー: 小社会コラム


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