2016.03.21 10:32

小社会 県民期待の一番乗りはならなかった。かといって全く…

 県民期待の一番乗りはならなかった。かといって全く見向きもされないわけではない。それどころか、だったらいつなのかとかえって気になる。高知城三の丸にあるソメイヨシノの標本木。

 春の晴天が広がった昨日、標本木の周りでは花芽の膨らみ具合を見てはめいめいに開花日を予想する人の姿が絶えなかった。五輪の選考レースだと1位と2位以下では雲泥の差がある。トップに越したことがないとはいえ、桜の開花には順番とは別の意味があるから興味半減とはならないのだろう。

 桜の花芽ができるのは前年の夏。休眠に入った後、休眠打破、成長という過程を経て開花する。前者では寒さ、後者では暖かさが鍵を握るという。

 自然の摂理にとって今季の土佐路の天候は厄介だった。暖冬かと思えば「数十年に一度」とも言われた寒波。寒と暖の極端な変化は最近まで続いたから、花芽もスイッチの操作にさぞかし戸惑ったのでは…。

 日本人が桜の開花に一喜一憂するのは農耕の伝統に由来するとの説がある。「水田耕作が始まった太古の時代から、桜は田の神の出現とみられてきました。開花のときを目安に、田んぼの土を起こす代かきが始まるからです」(日本雑学能力協会編著「名句・季語・歳時記の謎」)。

 そうした名残を底流にしながらも、日本人にとって花見は春の一大イベント。気分までピンクに染まるようだから、余計に開花が待ち遠しい。
カテゴリー: 小社会コラム


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