2014高知豪雨
2014年9月07日朝刊

避難情報は状況で判断 高知県内市町村で新基準策定進む

 大規模な水害や土砂災害が予測される際、どのタイミングで住民に避難を呼び掛けるのか――。市町村が悩み、迷う避難勧告・指示の判断基準。今年4月、内閣府が改定した判断マニュアルの指針(ガイドライン)は「空振りを恐れず、早めに出すことを基本」に、より具体的な基準設定を求めている。

 高知新聞の調べでは、高知県内ほぼ全ての市町村が、2005年策定の旧指針による基準の策定を終えているか、新たに策定や見直しを進めている。

 土佐市は10年に策定済みのマニュアルに、「避難準備情報」「避難勧告」「避難指示」の発表基準を明記している。

 仁淀川では避難判断水位(7・7メートル)、波介川では氾濫注意水位(5・5メートル)を超え、堤防を越流する恐れがある場合に勧告を出す。さらに増水や堤防の亀裂などがあれば指示を出すとし、避難を呼び掛ける文言や避難所の一覧なども冊子にまとめている。

 宿毛市は7月に地域防災計画を見直し、判断基準を設定した。土砂災害は高知県が常時発表している「土砂災害警戒避難基準情報」に基づいて勧告を発表。さらに30ミリ以上の時間雨量が続けば、指示を出すとしている。

 台風12号の豪雨で全域に勧告を出した高知市は、1998年の豪雨を受けて国分川にだけ水位を基にした基準を構えている。それ以外は「総合的な判断」を基本にしており、内閣府の指針に合わせた見直しを進めている。

 下元敏彦・防災対策部長は「何の根拠もなく勧告、指示は出せない。数値を含めた判断基準を検討している」としつつ、「数値はあくまで参考。最終的にはその時々で判断していくしかない」。

 安芸郡芸西村の竹内強村長も「マニュアルに基づきながらも、状況に応じて判断するしかない。住民の命が最優先であり、早め早めの対応に努める」との考えだ。

 香美市の法光院晶一市長は「判断の迅速化は必要だが、行政の保身的な発表で形骸化しては意味がない。判断の精度アップが必要だ」と強調。

 香南市の清藤真司市長は、広島市の土砂災害を例に「局地的な大雨は、台風と違って予測や勧告などの判断が難しい。土砂災害の危険がある場所を、日頃から職員や住民が把握しておくことも大切だろう」とした。

 8月の連続台風による豪雨。避難情報を発表した市町村の判断は――。


夜間避難で判断分かれる 田野町と北川村

 台風11号が接近し、風雨が強まっていた10日未明。安芸郡田野町の災害対策本部に詰めていた職員は難しい判断を迫られていた。奈半利川が避難勧告の目安である氾濫危険水位を突破したからだ。

 議論の末、夜間の避難は「川や溝に足を取られる危険がある」とし、避難情報の発表は「日の出を待つ」とした。

 河口近くの立町と芝地区に避難指示を出したのは午前6時20分。安岡雅徳町長は「今回を含めて本当に勧告、指示が必要かどうか、答えは出ない」と苦悩を口にする。

 一方、奈半利川上流域の安芸郡北川村は流域の9世帯26人に対し、避難指示を午前3時20分に出した。

 実際に避難した人はいなかったが、夜間の避難の危険性も考慮した上の判断について大寺正芳村長は「住民に危険を知らせることに意味があると考えた。難しい判断だった」と振り返った。

勧告前に漬かり始めた 日高村

 九州の西の海上を北上した台風12号の影響で高岡郡日高村では、3日未明から雨脚が強まった。

 災対本部は避難所の開設準備などを進めたが、既に道路の冠水で役場に出てこられない職員も。日高村全域を対象エリアとする避難勧告を出したのは、浸水被害が既に出始めていた午前8時40分だった。

 1週間後の台風11号では、土砂災害警戒情報が出る前に避難勧告を出すなど、早めの対応を取った。日高村総務課は「冠水しやすい場所を再度確認し、マニュアルを練り直したい」としている。

安全に動ける時間帯意識 南国市

 南国市は台風11号が四国沖を北上中の9日午前9時、南国市全域の2万1827世帯、4万8566人に避難勧告を出した。

 物部川や国分川は、南国市が地域防災計画の中で勧告の判断基準と規定している「避難判断水位」には達していなかったが、「猛烈な風で瓦などが飛んでくれば危ない。台風が近づく前に避難を促した」と南国市危機管理課。

 「局地的な大雨も予想されていた。『早過ぎるのでは』という議論もあったが、安全に人が動ける時間帯に判断しなければと考えた」と説明した。

【写真】台風11号の大雨で増水した奈半利川(8月10日午後3時半ごろ、高知県安芸郡北川村小島)





・「2014高知豪雨」前の記事へ ・「2014高知豪雨」次の記事へ
・「2014高知豪雨」トップへ
・「高知新聞」ホームへ

 

総カウント数
本日は
昨日は