2014高知豪雨
2014年8月9日朝刊

「豪雨のち台風」県内緊迫 避難続き疲労も

 記録的な豪雨から間を置かず、台風11号が高知県に迫ってきた。平野部では浸水被害の片付けが一段落したばかり。山間部では地滑りや土砂崩れの傷痕が癒えないままで、避難生活を続ける住民には疲れの色が濃い。「豪雨のち台風」という異常事態を前に、高知県内各地で緊迫感が高まった。

 複数の地域で地滑りの兆候が見つかっている長岡郡大豊町。8日までの国などの調査で、計16集落で今後地滑りが起きる恐れがあると判断された。

 特に危険性が指摘される大平(おおだいら)地区では、8日も7世帯11人が隣接する集落の民家に身を寄せ合って避難生活を送っている。

 地区長の都築一久さん(70)は「大きな地割れが住宅の比較的集まったところで起きている。もう、何年も帰れんのじゃないか…」と疲れた表情。

 8日朝には消防団立ち会いの下、「30分だけ」の約束で各自が自宅に戻り、着替えなどを袋に詰め込んで戻って来た。「みんなで地元の神社に出掛け、普段の何倍も何倍も、お祈りをしました」。都築さんの妻、将子さん(68)が目をうるませた。

 高知市鏡の中山間地域構造改善センターには、鏡的渕地区の小塩団地の4世帯8人が避難。3日に団地の対岸で起きた大規模な崩落は、予断を許さない状態が続く。

 妻と避難した男性(54)は「自分が想定していた最悪の事態を上回る被害が起こるかもしれない。台風で土砂が(自分の住む)団地に落ちてこないか心配だ」と緊張した面持ちだった。

 高知市の万々商店街では、紅水川の越流で浸水被害を受けた3日以降、各店舗がぬれた商品を片付けたり、書類を乾かしたりするなど対応に追われた。

 婦人服経営の山本桂子さん(74)は「豪雨の後、5日間営業を休み、ぶっ続けで片付けをした。今日やっと商品を並べたところ。なのにまた台風が来るなんて」と、うんざりした様子だった。

 豪雨で300棟近くの浸水被害が出た吾川郡いの町。床上浸水の被害で畳を取り外した枝川地区の中岡繁昌さん(67)は「台風でまた漬かるかもしれず、畳を入れてない」と半ばあきらめた表情。

 同じく広範囲で浸水した高岡郡日高村では、名産の高糖度トマトを栽培する藤原利彦さん(59)がぼやいた。「豪雨で消毒した土が浸水してしもうた。トマトが成長しても病気になるかもしれない。台風の進路がずれてくれりゃあえいのに」

 いの町と日高村では、巨費を投じて新宇治川放水路と日下川放水路などを整備したにもかかわらず、浸水を完全には食い止められなかった。

 国土交通省高知河川国道事務所は「被害は大幅に軽減できた」と事業効果を強調する一方、「台風11号では少しでも浸水を軽減したい」と両町村に排水ポンプ車を配備して警戒を強めている。

室戸市で突風 住宅6棟被害

 室戸市室戸岬町の三津地区で8日午前10時半ごろ、突風が吹いて住宅6棟の瓦が飛んだり、窓ガラスが割れたりする被害が出た。室戸市によると、けが人はいない。

 被害に遭った中屋忠治さん(84)は「ゴー、バリバリという音がし、外に出てみると瓦が飛ばされよった。一瞬のことだった」と驚いていた。

【写真】大規模な崩落が起きている高知市鏡的渕の空撮写真。川の対岸にあるのが小塩団地(6日午後5時ごろ、国土交通省四国地方整備局提供)



・「2014高知豪雨」次の記事へ
・「2014高知豪雨」前の記事へ
・「2014高知豪雨」トップへ
・「高知新聞」ホームへ

 

総カウント数
本日は
昨日は