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灼 ―よさこい進化論―
<36>
第4部 鳴子の行方
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負担ずしり 資金集めに四苦八苦

 高知商工会議所内の「よさこい祭振興会」事務局。祭りの裏方を取り仕切るここのスタッフは、四人全員が会議所の業務部職員である。会議所ではよさこいは業務部の担当と決まっていて、異動でこの部署に配属されると、必然的によさこいを担うことになる。

行政や商工団体などの代表が集まる「よさこい祭振興会」の総会。組織の機能強化も課題の一つだ(5月20日、高知商工会館)

 「祭りが以前みたいに数十チームの規模だったら、今の態勢でもやれるんだろうけど…」

 今年の祭りが終わってしばらくしてから、振興会の事務局長で業務部長の沢本彰夫はそう言って一枚の紙を差し出した。四人の勤務報告のまとめだった。

 前述したように、振興会事務局はよさこいの専任ではない。ほかにも多くの仕事を掛け持ちしている。例えば「お城まつり」やぼんぼりの「電飾委員会」「各種検定試験業務」「卸商業部会」「北方領土返還運動」…。

 沢本が差し出した紙には、四人の年間勤務日数の合計千百三日のうち、それぞれの仕事に何日を費やしたかが書かれていた。よさこいの欄には「四百五十七日」とあった。

 「よさこいに一番時間を使いゆうのは確か。けど、これでも足りない。祭りの企画からチームや各団体への連絡、調整、『よさこい読本』の出版、資料作成、県外との交流…。やることは膨大にある」

 沢本は、周辺から聞こえてくる事務局への要望や不満の声に「分かってはいるが、どうしようもない」と顔をゆがめた。

 事務局の仕事の中で一番の頭痛の種は、祭りの総予算(約七千数百万円)の三割以上を占める協賛広告取りの営業だ。中央公園などに掲げる大型看板のスポンサーを探して春から走り回るが、よさこいだからといって、右から左へ広告が取れるわけではない。

 何度も何度も足を運び、「検討する」と言われれば時間を置いてまた説得する。無理なら無理で別を訪ね歩く。目標額に達しなければ照明や音響設備などの質を下げるしかないが、年々高まる踊り子や観客の期待を考えれば、「前年以下」が許されるはずがない。

 「あまりに大変なんで、広告取りを代理店に任せたことがあるが、取れたのは一件だけ。やっぱり事務局が直接行って頭下げないことには…。予算は二十年前の約二十倍。資金集めだけでも大変ですよ」

     

 もっとも、振興会の悩みは単に事務局の負担の大きさに限ったことではない。今、関係者の間で最重視され、改善の余地があるとされているのは振興会の組織構成そのものである。

 例えば総会の構成メンバー。関係約四十団体の代表で構成しているが、いわゆる肩書き付きの人がほとんど。「重し」は効く半面、現場の細かな実情が反映されにくいきらいがある。

 その下の実働部隊と位置づけられる総務、事業、企画の三部会も同様。メンバーのスケジュールをやり繰りし、会合の日時設定だけでひと苦労。各部会からそれぞれの所管事項に関する提案が出てくるケースは実際ほとんどなく、事務局からの働き掛けがなければ、前を切って動くことはまずない。

 毎年、祭りの後の反省会で出された意見を基に、少しずつ祭りのルール改正などを行うのがやっと。山積する課題や将来ビジョンへの対応まではとても手が回っていないのが実情だ。

 さらに言えば、振興会の構成メンバーに祭りの主役である踊り子やチームの代表が入っていないのも、はた目には奇異に映る。もともと運営者側の集まりである上、チームの代表者が固定していない、というのが理由らしいが、多様化、肥大化する祭りに対応するには、踊り子側との日常的なパイプは不可欠ではないだろうか。

 会場、資金、交通、日程、組織…。次回からはそれぞれの課題のポイントを整理しながら、次代への方策を考える。

                                   =文中敬称略

                              (社会部・山岡正史)

 【写真】行政や商工団体などの代表が集まる「よさこい祭振興会」の総会。組織の機能強化も課題の一つだ(5月20日、高知商工会館)


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